さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

219 たかがトイレ、されどトイレって感じのお話ですが

 みなさん、こんにちは。

 

 昨日、全豪オープンテニスの線審のことから、人間同士の不信感みたいなお話をしましたが、この大会では他にもちょっと考えさせられることがあったようです。

 カナダのデニス・シャポバロフ選手が試合中にトイレに行きたくなったが、主審がこれを認めなかったことですね。もう少し細かく言いますと、男子の試合は5セットマッチなので、試合中に2回までトイレに行くことが認められています。私が中継を見ていた時は、この選手がトレーナーを呼んでいたので、まずはその治療を優先するべきとの判断だったと聞きましたが、どうなんでしょう。彼は自分は膀胱が小さいからと言って主審に文句を言っていましたね。

 私はトイレに行きたかったというより、気分転換を図りたかったんだと思っています。ちょうど第4セットを取られて試合の流れが相手の方に行きそうな状況でしたからね。まぁ、本人がトイレって言ってるんなら、そうなのかもしれませんけどね。

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 こういうケースってよくあります。

 「ルールではこうなっているが、自分だけはこういう理由で今すぐ特例を認めてもらいたい。」ってケースです。

 身体的な問題、生理的な問題と聞けばこの選手に理解を示す人も多いのかもしれませんが、私はそうは思いません。

 スポーツは基本的にルールによって成り立っていますからね。

 それをいきなり身体的あるいは生理的な問題を訴えて、自分だけは認めろっていうのはダメですよ。

 そもそも、テニスの5セットマッチの場合、長い時は5時間以上かかることがあります。もし、それについて不安があるのなら、事前に主催者と協議しておくべきなんです。突発的な疾患ではなく、あらかじめ予測できることですからね。

 彼の言い分を通せば、ちょっと片頭痛がするので休ませろ!って言ってもいいわけですし、腹が減ったから飯を食いに行かせろ!って言ってもいいわけです。あ、極端すぎましたね。すみません。

 それに、考えてもみてください。彼がトイレに行っている間、相手の選手は当然待たされます。試合の流れが自分の方に来たと思ったらトイレです。仮にそれが本当にもようしたからだとしても、相手の選手には不利益になることは間違いありません。

 主審が認めなかったことは正しい判断だったと思います。

 今後、彼がこの事を訴えてルールの改正に動けば、今回の彼の要求は本当にトイレに行きたかったからと考えられますが、何もしなければ、やはり、主導権を取り返すための虚偽の訴えだったことになります。

 だからと言って、この選手を責めるつもりもありませんけどね。

 以前もお話したように、テニスのシングルスっていうのは、場合によっては5時間以上、誰にも相談できず、たった一人で試合をします。頻繁に休憩をしますので、暑さが厳しいとか、ケガをしていない以上、体力面より精神面での消耗が問題になります。こんな長時間孤独と闘いながらプレイする競技は珍しいと思います。それに、呼吸が苦しくなるような競技でもありませんから、いろんなことをついつい考えちゃいます。

 彼らはそれに対応できるよう精神面を鍛えますが、同時に我が強くなります。悪く言えばエゴが強くなります。

 ラケットを地面に叩きつけたり、大声を出したりすることがよくありますが、半分は衝動的なもの、半分は戦略的なものだと思います。とにかく、うまくいかない時は気分を切り替えるためのキッカケが欲しいようです。ただ、たまにタガが外れてしまう選手もいるようで、オーストラリアのキュリオス選手はよく問題を起こします。周りの人もこれをもてはやすから、なかなか改まりません。で、まぁ、結局勝てないんですよね。

 そして、こうした選手の対戦相手も大変です。うっかり彼らの態度に腹を立てたりしてしまったら、それこそ相手の思うつぼですからね。理不尽なようですが、耐えるしかないんです。ひどいでしょ。

 今回のケースも相手の選手は耐えるしかなかったわけで、その後、負けちゃいます。

 カナダのデニス・シャポバロフ選手が勝ったんです。

 踏んだり蹴ったりとはこのことですが、プロである以上、これもまた想定されることですからいいわけにはできません。

 まぁ、一概にこのトイレ騒動が影響したのかはわかりませんが、おそらくデニス・シャポバロフ選手は主審との口論で、かなりストレスを発散できたんだと思いますよ。

 まぁ、そういうものです。

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 このニュースに対するコメントを見たら、結構デニス・シャポバロフ選手に同情的な意見が多いのに驚きました。

 もちろん、テニスプレーヤーが気分転換や駆け引きとしてこうした行動をすることを知らないのであれば、彼の言葉通りに受け取ってしまうのもわかります。

 まぁ、今回の件はルールが変更されたとしても、セットごとにトイレ休憩(しかも監視付き)が設けられるくらいだと思います。いつでもどうぞ!なんて言ってたら、試合が成立しなくなっちゃいます。

 それよりも、この一側面だけで判断する、最初の印象だけで判断するっていうことが日常的に行われると、情報を発信している連中の思いのままになっちゃいます。

 これ、なんか怖いですね。

 今回の記事はAFPのニュースでしたが、頭の固い主審が選手の悲痛な訴えを退けたような印象で書かれていました。そして、膀胱が小さいという彼の話を知れば、そういう身体的特徴はあることだし、それに対する配慮がないと思いますよね。

 今回はテニスに関する話で、私はある程度事情を知っていたので記事を鵜呑みにはしませんでしたが、知らない競技であれば、他の人と同様の反応をしたかも…。

 ただ、最近はメディアの報道や記事を完全に疑っていますからね。できるだけ複数の記事を見てから考えるようにしていますので、…やっぱり鵜呑みにはしなかったかもしれません。意図的にそうしているのか、そうではなく、ただ記事が短いからそういう印象を与えるのかわかりませんが、やっぱりなんか変ですよね。

 たかがトイレ、されどトイレって感じのお話ですが、それを伝える側の問題や伝えられた側の問題がここでも見て取れるのは、いったい何が悪いからなんでしょうね?

 えっ、私ですか?