さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

198 スロードライブ愛好家の方々

 みなさん、こんにちは。

 

 天気が良く、気温も高くなってくると、車の運転も楽しくなります。

 我が町は田舎なので、行き交う車もまばらで、信号待ちの間は山々の連なり目をやりながら、のどかな気分に浸ることもできます。

 窓を少し開けて走ると、ちょっと冷たいものの爽やかな風が頬を撫でてくれて、何かのご褒美をもらったような気分になり、年甲斐もなくニヤニヤしちゃいます。

 右手には湖が日光を反射して、ちょっと眩しいのですが、ラジオから聞こえるクラシックが絶妙で、その光と音を感じながら満ち足りた気分になります。

 仕事中ではありますが、こんな気分の良いドライブならいつまでも続いてほしいものだ、とつくづく思います。・・・のはずでした。

 ウキーッ!前の車がさっきから10分くらい30㎞/hくらいでフラフラ走ってる~!

 この道路は法定速度50㎞/hだー!

 いいかげんにしろー!ハァハァ…。あぁ、またかぁ…、もう、こんなのばっかり!

 まぁ、田舎ですからねぇ。こんなもんです。

 前を走る車は軽自動車で、シルバーマークって言うんでしょうか、緑やオレンジ色の四葉マークがお尻に貼ってあります。

 私の後ろには確認できるだけで5~6台の車が並んでいますが、前の車は一向にスピードを上げる気配がありません。それどころか、やけにセンターラインに寄っています。時折タイヤがラインを踏んだりするくらいです。

 困りましたねぇ。

 この道は一応国道なんですが、片側1車線で、追い越し禁止です。

 湖の北側の道で、迂回路はありません。この10分くらいの間に3台の車が一気に追い越しをかけていきましたが、対向車が気付かなければ衝突しそうな場面もあって、私としてはヒヤヒヤしながら運転をしています。

 もう、慣れちゃいましたから、本当はそんなに怒っていませんが、後ろからクラクションを鳴らされると、イライラが復活します。

 何となくですが、コロナ禍の昨年、こうした車が増えたような気がします。

 運転しているのは大抵人の良さそうなお年寄です。

 ついでにいうと、この人たちは迷惑をかけているという認識はなさそうです。気が付いたら、すぐに道を譲りそうな人たちですからね。要するに気付いていません。とても危ないことです。クラクションが鳴っても聞こえないのか、まったく反応しません。

 田舎の良くある風景といえば、そうなんですが、ここ1年本当に増えてきたのが問題です。おそらく、コロナの関係で馴染みの人たちと会うことも減り、家にいてもつまんないし、運転ならいいんじゃないの?ってことなんでしょう。

 でも、平日の日中は仕事で移動している人が多いので、幹線道路はあまり通らない方がいいと思いますよ。ゆっくり走りたいのなら、脇道や、裏道などをのんびり走り、後ろから車が来たら譲ってやればいいんです。

あえてこう呼びましょう。スロードライブ愛好家の方々、その運転を貫きたいのはよくわかります。ですから、道を選ぶとか、工夫をしましょう。

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私が良くお世話になる大工さんは70代半ばですが、運転は流れに乗って走ることができます。まぁ、何も問題はありません。問題があるのはその奥さんなんですね。

 この奥さんは紛れもなく、生粋のスロードライブ愛好家の方です。

 好きな速度は20~30㎞/h。…すごいでしょ。

 ですから、幹線道路など、車が多いところでは本人も運転したがらないそうです。

 普段は近くのスーパーなどにしか用事がないので問題なくお過ごしのようですし、遠出するときは決まってご主人である大工さんに同行させるようです。まぁ、仲がいいんですよね。で、この奥さんは運転が大好きみたいで、地元の細い道路を走る時や目的地に近づいた時は運転するんだとか。そして、幹線道路など車が多いところを走らなければならない時はご主人に運転させます。なかなか、賢い奥さんです。

 しかし、ご主人である大工さんにしてみれば、ちょっと不満があるそうです。助手席に座って、車がトコトコ走るのには慣れていますから、ついつい眠くなっちゃいます。ちょうどいい感じに微睡んだところで、「運転代われ!」ですからね。少し不機嫌になりながらも運転を代わり、ほどほど走ると、「運転したいから、脇道に入って代われ!」となるわけです。

 大工さんが「あ~、明日は女房と出掛にゃぁならん。あれ、なんか帰ったら疲れとるんよな~」っていつも嘆いています。そう言っているくせに、相変わらず一緒にお出掛けしているところをみると、やっぱり仲がいいんでしょう。

 まぁ、仲がいいとか悪いとかはどうでもいいんですが、この奥さんのように運転はしたい、ゆっくり走りたい、車が多いところはそうさせてくれないから嫌、スピードを出すのも怖いから嫌、っていうふうに自分の希望や腕前などを総合的に判断した上で、スロードライブ愛好家の矜持を持ち続けている方は尊敬に値します。

 ご主人は、まぁ、その、何です。お疲れ様ってことで…。

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 田舎で生活をしていくには、どうしても車が必要です。

 一昔前なら、小売店がたくさんあったので、みなさん歩いて買い物していましたし、そういうお店は配達もしてくれましたから、特に車が無くても大丈夫だったんでしょう。しかし、今は小売り店も大規模になり、さらに郊外型になりましたから、買い物一つとっても歩いてなんてできなくなっちゃいました。それはそれで仕方がないことなんでしょうが、だからと言って何歳になっても運転して良し、たどたどしいところは周りの人が補うべきっていう考えには反対です。

 実際、我が町はスピードが出ていないこともあり、死亡事故は少ないものの、事故自体は一向に減りません。いつもどっかでコツンコツンやってます。車や建物などが壊れただけで済むのならまだしも、ケガをしたり、させたりしたら大変です。

 現在高齢者講習などの制度があるようですが、こうした制度をもっと充実させていただきたいですね。目的は年を取ったり、病気やけがで運転に支障がある人を排除するのではなく、そうした人も何とか生活できるようにすることです。ですから、単に車の運転に限った話ではなく、生活に関わる様々な事柄を網羅して考える必要があります。

 地方にはそれぞれ気候や習慣などの特性がありますので、国みたいな大きな機関では対応できないところがたくさんあります。知事さんや市長さん、コロナ感染者情報を発表する記者会見での髪型を気にする暇があったら、そっちの方を考えていただきたいんですけど、いかがでしょうか。

 加えて、高齢者の割合が増えて、過疎化が進むから、若い人に来てもらおうと、あれこれと特典を設けるのもいいですが、たぶんそれは安倍ちゃ…安倍さんがよく言っていた「隗より始めよ」の意味を取り違えているような気がします。

 新たに来た人に特典や施しをしてもそれで終わりでしょ。そうではなくって、今そこに暮らしている人がそれなりに幸せに暮らしていること、少々不便でも、決してひどい状況ではなく、協力して生きていけることが重要なんだと思っています。

 その姿を見ることで、自分の将来を予測できるから人が集まるんです。

 別に高齢者がたくさん集まってきたっていいじゃないですか。人がたくさん集まれば需要が生まれますよ。

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 あれっ、運転の話からまた話が逸れちゃいました。

 ま、まぁ、いずれにしても我が町では、スロードライブ愛好家の方々が今後増えること間違いなしですので、自他ともにそのあたりの認識を持っていただくことは大事なんじゃないかなぁと思っています。

 とりあえず、前の車は事故もなく脇道に消えていったのでほっとしています。