さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

81 煽りオヤジと西郷フェイス

 みなさん、こんにちは。

 

 我が町では、交通事故が相変わらずちょくちょく起きています。

 おそらくほとんどのケースがケガ人も出ないような事故だと思います。

 ですから、死亡事故はとんと聞きません。それはそれでよいのですが、なんかイライラしながら車を運転している人が多くありませんか?

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 先日も目の前で事故がありました。というか、この日は巻き込まれちゃいました。

 私は軽トラを運転していました。曇っていたせいか、時間のわりに薄暗くなってきており、ライトをつけるべきかどうか悩ましい状況でした。前を走っている軽自動車は法定速度より5~10㎞/h遅い感じで走っていました。「遅いなぁ」と思いましたが、もう慣れっこになっちゃったので、「まぁいいか」と車間距離にだけ注意していました。極端に遅い車って、急に止まったり予想外の動きをしますからね。

 すると私の後ろの普通車が妙に車間距離を詰めてきました。まぁ、気持ちはわからなくもありませんが、こっちも前の車が遅いからゆっくり走っているのに、「わからないヤツだなぁ」と前の車より後ろの車の動きに気分が悪くなってきました。気持ちがわかるというのは、さすがに法定速度40㎞/hの道路を30㎞/hくらいで走られたら、イライラしますからね。でも、市街地で道路わきにお店が並んで建っているようなところです。信号もほどほどの間隔であるわけですし、「そんなにイライラしても仕方がないじゃない」って思っていました。

 そのうちライトを点けてハイビーム攻撃をしてきたので、どうしようかと思っていたところ、前の車が右手のスーパーに入るために右折しようと減速しました。私も当然減速。と、なにを思ったのか後ろの車が対向車線から追い越しをかけてきました。いやいや、危ないだろ、って思っていたらものの見事に右折する前の車に衝突しました。大変不謹慎ですが、私がミサイルを撃って当たったような格好でした。

 2台の車はそのままスーパーの駐車場の隅に停車したので、私も後について行き停車。とりあえず車を降りて「大丈夫ですか?」と声をかけたところ、二人ともケガもないようで安心しました。前の車を運転していたのは初老のおばさんで、少し動揺しているようでしたが、なぜが警察ではなくご主人に電話をかけていました。後ろからぶつかった車は中年のおじさんが運転していましたが、若干ふて腐れた様子だったので、「そっちは?」とケガの有無を尋ねるときわざとぞんざいな言い方をしたら「別に…」と言ったので、「じゃあ警察呼ぶから」と言ったところ「なんでお前が呼ぶんだよ!」ときたので「あんた、こっちの車も散々煽ってくれたよな。あのハイビームは何の意味だ!」とやったら「スミマセン」と小さな声でなんか言っていましたが無視して警察へ電話しました。

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 警察が来てからは、一応通報者なので私にも事情を聞いてきたので、前の車の速度(問題にはなりませんが)と後ろの車から煽られたことを伝えておきました。途中で、若いお巡りさんが煽りオヤジ(後ろの車の運転手)を庇うような口調になったことに怒ったら、年寄のお巡りさんが気を利かせて煽りオヤジにもう一度私にも謝罪させました。まぁ、煽り運転が盛んに報道されているご時世ですからね。別に証拠はありませんが、その後の事故の状況を考えれば、それを否定するほうがおかしいですから、そのあたりを年寄お巡りさんが煽りオヤジに説明したのでしょう。

 ちなみに若いお巡りさんは前述したように証拠もないんだから~みたいなことを言っていたので怒ったのですが、年寄お巡りさんから「お前は何を勝手に決めつけて聞いてんだ!」って叱られていたので溜飲が下がりました。

 この年寄お巡りさんの行動は実に理にかなっていたと思います。

 この人は別に私に配慮したわけでもなく、煽りオヤジに憤慨したわけでもないと思います。要するに丸く収めることに注力していただけですね。煽り運転をした挙句に対向車線から無理やり追い越しをかけて事故を起こしたなんて、ローカル新聞にでも取り上げられたら面倒だったんでしょう。その上、警察官が不用意なことを言ったなんて知れると余計に面倒だったんじゃないでしょうか。だから、とりあえず怒っている私をなだめ、煽りオヤジにはただの事故じゃすまなくなるくらい言って脅かしたんでしょう。まぁ、その頃には私も落ち着いて、どうでもよくなっていました。もうしばらくいてほしいとのことでしたので、冷めてしまったコンビニコーヒーを飲んでいたら、若いお巡りさんが煽りオヤジになんか文句を言っていました。どうやら事故の当事者が取り交わす連絡先を書く紙に自営業って書いていたようです。その人の乗っていた車は思いっきり社用車で会社のロゴがでかでかと貼ってあったのに…。

 煽りオヤジも煽りオヤジですが、この若いお巡りさんもちょっと困りものです。どうも直情的でいけません。また年寄お巡りさんに小言を言われていたようでした。

 その後、ぶつけられた車のおばさんのご主人でしょうか、すごい貫禄があるおじさんが現れると、煽りオヤジはうなだれたまま動かなくなっていました。年寄お巡りさんがすぐに説明したのか、話を聞き終わるとすぐにこっちに来て「軽自動車を運転していた者の亭主です。この度は大変ご迷惑をおかけしたようで、申し訳ございませんでした」と礼儀正しく頭を下げられちゃったので、こっちは恐縮しまくりで「いえいえ、そちらには何の落ち度もないことですし、奥様にお怪我がなくて何よりでした」とちょっと変な言い方をしてしまいました。いろんなことを端折った感じですね。でもこのご主人は「ありがとうございます」と言って奥さん(おばさん)のほうへ歩いて行きました。

 おもしろかったのは、若いお巡りさんも煽りオヤジの近くにつっ立ったまま、ちっちゃくなっていたことですね。本当に困ったものです。

 確かにご主人(おじさん)の貫禄というかオーラは、私がキャーキャー騒いでいるのとは比べものにならない威圧感を相手に与えるものでしたので、わからなくもありません。

 煽りオヤジはご主人が近づいてくると、米つきバッタみたいに何度も頭を下げていました。ん?よく考えたらこの煽りオヤジは奥さん(おばさん)には1回も謝っていなかったはずです。スーツをきて大きな会社に勤めていてもダメダメちゃんはやっぱりダメダメちゃんですね。最初から低姿勢で謝り倒しておけば良かったのに…。

 まぁ、注意深く見ていると、いい年をして自分勝手で横暴な人をよく見かけますし、周りの人(あっ私も)も見て見ぬふりですからね。お役御免となって帰路についた車の中で、こういう人が今後増えていくのかなぁ、なんて考えていました。

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 ちなみに、後から現れたご主人(おじさん)は西郷隆盛の目を細くした感じの人でした。私には穏やかな表情で接してくれたので、普段はこういう人なんだろうなぁ、と思いましたが、煽りオヤジの前では厳しい表情で腕を組んでいました。その姿は炎で包まれているようで、それが熱いのか、奥さん(おばさん)はご主人の3歩くらい後ろに立って恐る恐る様子を窺っていました。

 いつの時代も西郷フェイスは抜群のパワーを秘めているようです。