さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

160 なんか、似てませんか?

 みなさん、こんにちは。

 

 塩野七生さんの「ローマ人の物語」は私の愛読書の一つで、何度も読み返しています。ハードカバーで全15巻あるので大変なんですが、何となく第1巻を手にしてしまうと、最後まで頑張っちゃいます。政治・軍事・経済等面白い要素はたくさんあります。なかでも政体の変化は学校でも習うくらい有名ですよね。王政→共和政→共和政を装いながらの帝政→帝政への移り変わりが西ローマ帝国だけでも1000年以上の時間をかけて行われます。東ローマ帝国まで含めてしまえば2000年にもなります。

 このローマの長い歴史を読んでいくだけでも楽しいのですが、同時にいつも思うんですよね。人間は同じことばっかりやってるなぁって。

 グローバリゼーションでしたっけ?特に経済的グローバリゼーション。

 同じでしょ、これ。

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 共和政ローマでも既得権益者たちによる大土地所有にはじまり、地中海世界での富の独占、イタリアの空洞化って進みました。当時の価値観や時代背景が違うので一概には言えませんが、共和政末期のローマにおいて元老院議員などが口では共和国共和国と呪文のように唱えながら、実際は自身の富の増大しか考えていなかったことと、今の世界とを比べてみると、面白いくらいによく似ています。

 共和政ローマ既得権益者の事を語るには、農地法の扱いをみればよくわかります。有名なところではグラックス兄弟の改革でしょう。まぁ、挫折しちゃいましたけど。まぁ、とにかく既得権益を守りたい、更にそれを増大させたい人々っていうのはいつの時代にもいるものですが、そのためには実に陰惨な手段を使います。っていうより手段を選びません。口では「みんなのローマ共和国だよ~!」って言いながらです。

 なんか、似てませんか?

 聞こえの良いことを口ずさみながら、裏では富を得るために汚いマネを平気でやっちゃう人々。いますよね。アメリカにも、どこにでも。

 共和政ローマ既得権益者が間違えたのは、共和政を、共和国を守ると訴えているだけで、積極的に名目上の主権者であるローマ市民を取り込まなかったことでした。

 そこをカエサルに突かれてしまったんですね。彼も野心家でしたが、民衆の支持なしでは達成できないことをよく知っていましたから、自分は元老院に属しながら農地法の改革をやっちゃったんですよね。それはいいんですが、その後ローマは共和政を装いながらの帝政に移行し、イタリアの空洞化は進んじゃいます。

 ローマが帝国として機能していた時は、まだその弊害を受けませんでしたが、西ローマ帝国滅亡した後のイタリアはバラバラになってしまい、再び統一されるのは19世紀のことです。当時最高の文明を持っていたにもかかわらず、です。

 なんか、似てませんか?

 まぁ、似てる似てないはどうでもいいんですが、先ほどのグローバリゼーションを推進してきた政権っていうのは、基本的に過去から何も学んでいないような気がします。儲けたい人々が国外にコストの安い製造拠点を欲しがるのはわかります。いわゆるサプライチェーン・マネジメントですね。安く作って高く売る。そこに株やらなんやらよくわからないものまで混ぜこぜにして、とにかく儲けようとするのは商売なんだからわかります。しかし、政府がそのあと押しをするのはちょっとおかしいと思うんですね。商売人はほっといても儲けようとしますよ。それに手を貸し、仕組みや制度をいじるのははっきり言って間違っていると思っています。小さな国が一丸となってその方向に向かっているのとは違いますからね。おそらく財界の要請を受けてそうしてるんでしょう。

 あ、私はグローバル化っていうのに反対の立場です。

 ですから、儲けたい人たちは政府に働きかけて制度や仕組みを変えてもらうなんていう安直なことをせずに、頭を使って儲けなさい!って言いたいですね。そんなことだからちゅ…某国に付け込まれてしまい抜け出せなくなっちゃうんですよ。

 私は安倍さんが好きなんですけど、消費増税グローバル化推進については反対です。だからと言って嫌いになんかなりませんけどね。

 

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 ローマの共和政はカエサル以後帝政に向かい、西ローマ帝国滅亡後、ヨーロッパは長い中世に入ります。世界的に共和政や民主政を敷くようになるのはここ1~2世紀のことで、それまで長い期間民衆は、程度の差はあれ支配される側であり、共和政の頃のローマ市民のように自分たちの意見を政治に反映させる機会を得られませんでした。

 現在、経済的なグローバリゼーションの進行に引きずられるようだった政治的なグローバリゼーションは皮肉にもコロナの影響で停滞しています。しかし、これを進めたい勢力はちゅ…某国共産党と組んでアメリカの大統領選において邪な手段を使い、自分達に都合の良い結果を得ようとしました。

 第一次世界大戦第二次世界大戦を経験し、大勢の犠牲者を出したにもかかわらず、世界がまたもや混沌とし始めたところをみると、まだまだ生贄が足りないようですね。

 昨今、世界市民などと嘯く輩も現れましたが、このような連中は現実を直視せず夢物語に被れた者、狂信的に富を欲しがる者、その者からおこぼれや小遣いを得ている者、まぁ、所詮そんなところでしょう。しかし、そんな連中を咎めることもできないのですから、何とも情けないかぎりです。

 

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 歴史をぼんやりとでも眺めていたら、今起きていることの中で、これはまずいんじゃないの?って思うことがしばしばあります。そして、だいたい同じような流れで進みます。そりゃそうですよね。今も昔も同じ人間なんですから。でも、過去の失敗を知っているだけ、今の人間が有利な気がするんですけど、欲に取りつかれちゃうとそのあたりが見えなくなっちゃうみたいです。政治家も財界人も私なんかより詳しく歴史を学んでいると思うんですが、なかなかうまくいきませんね。

 ところで、世界市民の方の政府はやっぱり世界政府なんでしょうか?EUをみていると、そんなもの必要ないような気がしますし、ましてやアジアでそんなものをと考えている人はどうかしています。日本の周辺の国で信用できるのは台湾だけでしょ。2か国だけなら同盟で十分です。で、話を世界政府に戻しますが、どこかの国に所属したままではEUの二の舞になっちゃいますので、とりあえず自分の国の国籍を抹消してから、集合されてはいかがでしょうか。もちろん、嫌がる住民を巻き込んではいけませんよ。それではISと同じですからね。世界政府は生粋の世界市民だけでお創りになるようお願いします。そして、我々とは交わることのないねじれの関係でいてくれるのなら、それはそれでいいんじゃないかと思っています。