みなさん、こんにちは。
私、今悩んでいます。
夏には感じなかったのですが、最近朝晩寒くなり、寝床を出るために寝ぼけながらもかき集められるだけの勇気を振り絞り起床するようになってきたら、朝時間が足りません。どういうことかといいますと、起床してから米を炊き、食べ終わるまでに約1時間必要になります。暖かい頃は、寝床から這い出るのになんの苦痛もありませんでしたから、7時に家を出るのなら5時過ぎには起きていました。しかし、今はなかなか寝床を出ることができなくなってきています。布団のなかでモソモソしながら、何度も時計を見て、6時前になると、ああ、もうダメだ！と絶望しながら、えい！やぁ！で布団を跳ねのけます。最近ずっとこればっかりです。
私は土鍋で米を炊きますので、火にかけ、炊きあがるまでに最低30分かかります。しかし、そこでご飯をしゃもじでほぐしてもう10分は蒸らしたいところです。ということは40分かかるということです。これでも電気炊飯器の通常炊きより早いと思います。しかし、それでは食べるのと後片付けに20分しかありません。細かく言うと火にかける時間は約15分、火を止めて蒸らすのに15分、ご飯をほぐしてさらに10分蒸らすという流れです。この蒸らしの15分と10分の間に朝シャワーとおかず作りをしなければなりません。なので、まったく余裕がありません。
困っています。
そこで今悩んでいるのは電気炊飯器を買うべきかどうかということです。
電気炊飯器ならタイマー機能という朝の味方が付いていますので、起きたときには米は炊きあがっているという理想的な状況を作ることができます。あとは朝シャワーとおかず作りをすればいいので、同じ1時間でも心のゆとりというものが違ってきます。
朝、寝ぼけたままぼんやりと外の景色を眺めたり、起きがけのタバコという贅沢な時間を堪能したり、ネットのニュースを眺めたりできます。まぁ、違いは土鍋を火にかけている15分ほどでしかありませんが、朝の15分は仕事中の1時間にも2時間にも匹敵する貴重な時間なのです。7時というリミットがあるのも心をせわしなくさせるファクター（なんかカッコいい）なのかもしれません。とにかく、車に乗って出かける頃にはもう疲れはてて帰りたくなっちゃいます。
では、悩んだりせずにさっさと電気炊飯器を買えばいいじゃん、じゃんじゃん！という声が聞こえてきそうですが、それはあなたが土鍋で炊いたご飯を食べていないからそんなことが言えるのです！
前日に米を研ぎ30分浸した後で、米と共に同量の水を鍋にはっておきます。翌朝コンロに火を点けて5～7分ゴボッゴボッと沸騰した音がしたら火を最弱にして8～10分。タイマーの知らせで火を消しそのまま15分。そしてふたを開けると、輝くご飯を目にすることになります。その無垢な輝きは真珠のようなクスミをはらんだものではなく、限りなくダイヤモンドのそれに近い透明感のあるものです。立ち込める湯気も嫌な臭いは一切纏わず、ただ純粋に米の香りだけを鼻腔に運び込んできます。しゃもじで底のあたりの少し硬くなっている米をはがしていく作業は、つい「こいつめ、まったく頑固なヤツだ」と呟いてしまうほどの愛しさが胸に湧きあがってきます。その後10分程度蒸らしを継続すると、硬かった米も本来あるべき柔らかさを取り戻し、一粒一粒がその美味しさを競い合っているかのようなご飯に姿を変えていきます。
このご飯を1年近く食べ続けた私が、今さら電気炊飯器で炊いたご飯に不満を抱かないとは思えないのです。う～ん、本当に切実な問題です。
思い悩んだ挙句、職人さんや業者さん、果てはお客さんにまで相談してしまったのは、我ながら失敗でした。お客さんは苦笑いしながら「それは大変ね」と当たり障りのない返事でしたが、職人・業者は「電気炊飯器買えばいいじゃん」「今どき土鍋って原始人かよ！」「そんなことで悩めるなんて幸せなヤツ」「つまらんことを考えてないで、仕事のことを考えろ！」「アホか」「知らん」「どっか行け」…、思えば、私のまわりにはろくな人間がいないような気がしてきました。
そもそも、私が土鍋を使うようになったのは、以前もお話しましたがお客さんに勧められたのと、使っていた電気炊飯器の釜が痛んできたからです。そこでホームセンターに行き今の土鍋と運命的な出会いを果たしたのです。しかも、この土鍋、安売りで1000円以下で買ったものです…。う、運命的なのです。
ついでに、土鍋で炊いたご飯について補足しておきますと、余分に炊いて冷凍保存することがありますが、電子レンジで解凍・温めをすると、炊き立てほどではないにしても、ほどほどの美しさを復活させます。どうしてなのかわかりませんが、そう感じます。ひょっとして気分的なものかもしれませんが、以前電気炊飯器で炊いたご飯は冷凍保存しておくと、食べる時に炊き立てのご飯以上に違和感を感じていました。まぁ、それほどに土鍋で炊いたご飯は美味しいということなんですね。
さて、いつまで悩んでいても仕方がありません。
一応、電気炊飯器を購入する方向で考えるようになりました。
朝、30分早めに起きればいいじゃん、じゃんじゃん。っていう声が聞こえてきそうですが、無理ですから。はい、無理です。ですからその声は無視させていただきます。
で、悩みはさらに深くなっていきますが、一口に電気炊飯器と言っても、マイコン炊飯器、IH炊飯器、圧力IH炊飯器と様々です。まぁ、10万円くらいするものについては、まったく考えていませんので今回は割愛します。先ほどのマイコン炊飯器から圧力IH炊飯器になるにつれて価格は上昇します。マイコン炊飯器は数千円で買えるのに、圧力IH炊飯器は安くても2万円くらいします。IH炊飯器はその間くらいですか。…悩みますねぇ。タイマーだけならマイコン炊飯器でじゅうぶんですが、消費電力が小さく、釜も薄いものが多いので、聊か役不足と言いますか、土鍋のご飯と比べると味や香りの面でかなり不安があります。圧力IH炊飯器は蓋側を洗うのが面倒くさそうです。では、間を取ってIH炊飯器にすればいいのですが、これって結構価格帯が広いんですよね。安いものは1万ちょっとで手に入りますが、高いものは数万円します。…どうしても良いほうの製品に目が行っちゃって…。
う～ん、本当に困っています。
さらにもう一つ不安があります。
電気炊飯器を使うようになったら、その分時間に余裕ができますね。
すると、今度はそれを頭に入れて、布団の中から時計を見るようになりそうなんです。つまり、せっかく作った時間的余裕が、結局布団の中で消費されてしまいそうなんです。
あ～、そうなってくると、何とかして30分早く起きるようにした方が、自分を鍛える意味でも良いのかもって思えてきます。寒くなりはじめてから、この問題が延々頭の中で堂々巡りしています。
あっ、それならば、起床予定時間の1時間前からエアコンをつけて部屋を温めるっていうのはどうでしょうか。寒いから布団を出られないのであって、暖かければ苦痛なく起きれるかもしれません。これは良いアイデアではないでしょうか。
…いっいやダメです。
たぶん気持ちいいから、そのまま起きなくなっちゃうと思います。布団を跳ねのけて、そのまま目覚ましにも気付かないくらい深い眠りに落ちてしまいそうです。
こうして考えると、私にとってエアコンや電気炊飯器のように便利なものは、結局私自身のためにはならないのか、あるいはそもそもそれらを使う資格が私にはないのか、またもや深い悩みの沼に沈んでしまいそうです。
