さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

84 まぁ、一言で言えば変人です。

 みなさん、こんにちは。

 

 アルバムを整理していたら、何かジープのおもちゃを手にしている若いころの私がいました。なんだコレ?とそのおもちゃをよく見ると、思い出しました思い出しました、ラジコンのジープでした。確かタミヤのワイルドウイリスっていう名前だったような気がします。組み立て式の所謂モデルラジコンで、全部合わせて20,000~25,000円(通販価格)くらいだったと思います。

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 これが流行ったんですよね~。当時よく遊んでいた友人がみんな持っていたので、親にせがんで、というか過去上納したお年玉と手伝いのお駄賃を総動員して買ってもらいました。中学生の頃だったと思います。

 一口にラジコンと言っても実にバラエティー豊富で、車や船、飛行機やヘリコプターまでありました。動力源もモーターを使用するものと、小型のエンジンを使用するものがありました。すごいでしょ、小型のエンジンって。

 まぁ、友人が持っていたのは電動のオフロード車といって土の上でも走らせることができる、当時もっとも汎用性の高いタイプでしたから、私も当然のようにそのカテゴリーで選ぶんですけど、その選んでいる間がまず楽しかった。メーカーも3社くらいありましたし、一番売れ筋のカテゴリーだったので、とにかく車種が多かったです。その中からどれにするのか選ぶのに3か月くらい要しましたね。

 よくわからないくせに、大人の人が読むような専門誌を買ってきて、そこにたくさん出ている通販の広告を眺めながら、どこが安くて信用できそうか中学生が一生懸命考えるわけですから、今考えると笑っちゃいます。結局、ほとんど同じ値段の店の中から広告の感じが良いところで決めちゃうんですから。その後、走行性能をまるで無視したジープにしたのは生来の天邪鬼が発揮されたからでしょうね。

 で、到着したキットを友人総出で組み立てて、やがて走らせるんですが、別にレースをするわけでもなく、それぞれがただ好き勝手に走らせたり、他の人のマシンを眺めていたりするだけです。それはそれで楽しいんですが、一番楽しかったのは、一通り走らせて、バッテリーが空になると(長くても10分くらいしか走りません)、メンテナンスを兼ねて座談会が始まります。土の上を走らせたので汚れていますから、それを刷毛や筆を使って丁寧に掃除して、油をさしたり、ボディの傷を塗装して治したりと、本当に至れり尽くせりでした。そんなことをしながら、モーターがどうのこうの、サスペンションがどうのこうのと、たいしてわかってもいないことを知ったかぶりしてお互いに話しています。段々みんなのテンションが上がってくると、模型屋さんに行って部品を物色したりするようにもなりました。モデルラジコンっていうのは、比較的簡単に改造(部品を変えるだけですが)ができるので、そういうのも楽しかったですね。

 ポヤ~ンとそんなことを思い出しながら、そのジープのラジコンはどうしたんだっけ?と思い出してみると、学生の時に親戚の子に譲っていたことも思い出しました。

 考えてみると、高校から大学にかけて、この時期の私が一番物に執着しなかったんじゃないかと思います。あれだけ大事にしていたグローブでさえ簡単に人にあげましたからね。

 「あ~そうか、あいつにやったんだったな」と未だにポヤ~ンとしながら、ユーチューブでラジコンを検索してみると、山ほどありました。いやぁ、懐かしいですね。しかも復刻版とかいって、我々が楽しんでいたころのモデルが今なお活躍していたのには驚きました。動画を見て、またぞろ欲しい欲しいとはさすがになりませんでしたが、操縦が上手な人の技には本当に驚きました。自分でも操縦したことがあるのでわかるんですが、まるでそのラジコンカーに乗って運転しているようなリアルな技を披露してくれます。ゲームと同じで、しばらくはそれを眺めているだけで楽しめそうです。

 それにしてもこのラジコンって夢があると思いませんか?

 あ、今流行りのドローンとは違います。

 ラジコン好きの人達って、そういう事ではないと思うんです。

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 例えば、人の大きさほどある宇宙戦艦ヤマトを潜水艦として実際に沈めてみたり、小型のジェットエンジンを搭載したF-15戦闘機を飛ばしてみたり…、そう!ロマンなのです!!

 今では普通に潜水艦もありますし(ヤマトではないですが)、工事現場の重機みたいなものもあります。何がしたいのか、興味のない人にとってはさっぱりわからない世界です。そう、だからロマンなのです!!(くどいですか?)

 戦車が砂埃をあげて疾走したかと思うと、砲塔を回し、砲弾を発射する(BB弾みたいなヤツ)。だからなんだ!と言われてしまうと何も言えませんが、やっている本人にしてみれば、まさに至福のひと時なのです。

 私がラジコンにのぼせ上っていたころは、ラジコンの最高峰はヘリコプターだと思っていました。よくわからないラジコン専門誌でも毎回特集されていましたし、プロポっていう送信機のレバーの数を見ても、とても素人が扱えるものとは思えませんでした。なにしろ、当時のヘリコプターのプロポは10ケや12ケのレバーがありました。車は2ケです。前後進と左右の2つ。戦車になると、それに加えて砲塔の操作分増えていきます。それでも地面の上ですから、あわてることはありません。しかし、ヘリコプターは空を飛んでいますから、アワアワしているとおっこっちゃいます。いやぁ、考えただけでも恐ろしい。冷や汗が出てきますね。ただ、最近おもちゃのヘリコプターが2~3,000円で売っていて、ちゃんと飛ぶのを見ていたら、…なんか、こう、アレッって感じになっちゃいますね。モデルラジコンのヘリコプターは数十万円かかりますからね。

 …、違うんです。そうじゃないんです。モデルラジコンはロマンですから、飛べばいいってもんじゃないんです。ハァハァ…。

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 いかにキットを買って組み立てるにしても、その後いろいろなパーツを吟味して自分だけのマシンを作り上げていくのが楽しいのです。ヘリコプターほど複雑ではない車であっても、走らせる場所に応じてタイヤはもちろん、モーターやサスペンションも交換したり調整したりします。そうすることで、自分のイメージしている走りを実現するのです。だからなんだって言わないでっ!

 この自己満足を徹底的に追及する事こそラジコンの魅力なのです。走らせている最中から不満な点をどう改善するのか思案して、帰って落ち着いてから再度思案に暮れて、やがて方向性が決まると現実的な計画を練る。その後試行錯誤を繰り返しながら仕上げた車ですが、やっぱり何か納得いかないなぁってなった時の渇きにも似た湧き上がる欲求に震えながら、無自覚な快感に浸っているのです。

 まぁ、一言で言えば変人です。はい。

 完成度の高いラジコンオフロード車は凸凹のある路面に対して張り付くように走ります。決して無様な跳ね方をしません。ハンドルの感度も良く、生き物のような意思を感じさせる走りをします。友人所有のトマホークなどはその典型でしたね。実にエレガントな走りを見せてくれました。

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 ちなみに私のワイルドウイリスは転がる専門で、曲がろうとするたびに転がっていました。ウイリーすることもできましたが、勢い余ってバク宙失敗みたいなこともしょっちゅうありました。無論、私の調整や操縦の未熟さが原因ですが、そうなってくると別の意味で愛着がわいてくるから不思議です。

 う~ん、なんだかもう一度欲しくなってきましたね。でも、もう一人の私が「断捨離!」って言ったまま口をきいてくれないので、諦めることにします。