さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

⑯この引き違い窓ですが、最近のものは随分と高性能なものになってきています。

 みなさん、こんにちは。

 

 朝、窓を開けると気持ちの良い風が入ってくるようになってきました。

 夜は未だにモワッとしているので、まだまだといった感じですね。

 私はマンション住まいなので、一戸建てのお家のように風を通すことはできません。いや、出来ないことはないんですけど、通路側にある玄関ドアや窓を開けることになるので、虫は入ってくるし、プライバシーが、…そのですね、気になると言いますか、とにかく嫌なんですね。

 以前も書きましたが、マンションというのは換気の能力がどうしても一戸建てのお家には劣ります。これはもう仕方のないことなので、おとなしく秋を待つことにします。

 

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 ところで、この窓ですがFIX窓や滑り窓(滑り出し窓)等、普通の引き窓(片引き、引き違い)以外にもいろいろな形のものがあります。まぁ、一般的なものは2枚の引き違い窓ですね。この引き違い窓ですが、最近のものは随分と高性能なものになってきています。フレームはアルミから樹脂へ素材を変え、パッキンをふんだんに用い、ガラスは複層ガラス(ペアガラス)が当たり前になりました。2枚のガラスの間にガスを注入したものや、ガラス自体にUV効果だけでなく熱線を反射する機能を持ったものまであるくらいです。これらはいずれも気密性、断熱性の向上にかかわるもので、住宅のエネルギー効率を高めています。要するにエアコンの効きがよく一度冷やしたり温めたりしたら、それを維持してくれるので、エアコンは静かに運転し電気代が抑えられるという理屈です。さらに別の性能として室内の様子が見えにくくなるような細工を施したガラスも登場しています。

 いやぁ、良いことばっかりですね、と言いたいところですが、問題もあります。

 まず、結露の問題。気密性能と断熱性能の向上が揃っていないことで起きるようです。窓サッシの気密性能は現段階でもじゅうぶんだと思います。しかし、断熱性能はそれに追いついていません。確かにフレームは樹脂になりガラスもペアになって、レールまで樹脂化した高級品もあります。でも全く熱を伝えないわけではありませんし、補強の為内部に金属を使っているものもありますし、ガラスはやっぱりガラスですからねぇ。というわけで寒い日に内外の温度差が大きくなると、結露が発生し窓の下のあたりが濡れてしまい、ひどい時はカビが生えたりします。

 あと、重いこと。ペアガラスのサッシが出始めたころは、掃き出し窓の場合一人で持てないほどの重さでした。今はだいぶ軽くなりましたが、ガラスが2枚ある以上軽量化にも限度がありますね。

 もう一つ、修繕費が高くつくこと。外側であれ内側であれガラスが割れてしまうと、2枚セット(ペアだから)での交換になります。これはガラス屋さんでペアの状態のものを作ってから現地で交換します。ですから、時間もついでに多くかかります。

 良いことばかりではありませんね。

 重さや、修繕費については今後のメーカーさんの商品開発に期待することにして、結露の問題はペアサッシにすることで解決できます。

 ペアサッシは二重窓のことで、既存の窓サッシの内側にもう一つ窓サッシを設ける方法です。結露に対してはほぼ完璧に抑え込みます。さらに断熱性、防音性、防犯性が高まります。問題は2回窓を操作する必要があり煩わしいことと費用の問題です。1か所の窓を開けるのに内側と外側の窓を開けるって、超面倒くさいですね。ただ、結露が発生するのは夜お休みになる寝室がほとんどなので、考える価値はありそうです。費用は年々安くなっていますので、コロナ禍で景気が下向きになっている今がチャンスかもしれません。施工は事前に寸法をとっておき、製品が到着したら概ね1か所あたり2時間くらいで終わると思います。

 結露の問題は、私がメンテナンスの仕事をしていた時、冬になると必ず相談されました。その都度、メーカーやサッシ屋さんと協議するのですが、結論はいつも「ペアサッシしかないね」というものでした。

 結露の解決についてはさらにもう一つ解決する手があります。それは室温を上げないことです。外気との温度差が20度くらいなるとほぼ間違いなく結露するようです。ですから、外気が0度の時は室温を12・3度くらいにして就寝するとか…寒いですね。人が寝ているだけで温度や湿度が上がってしまいますから、極力部屋は低温にして布団をかぶって寝る…やっぱり寒いですね。そもそも結露なんて、昔の隙間風がピューピュー鳴っていた住宅では考えられないことでした。

 

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 以前、少し真面目に住宅についてお話した時にも触れましたが、住宅に限って言えば、その工法、材料や製品、さらには間取りについても長所と短所があります。住宅メーカーだけでなく、材料や製品のメーカーも日々機能の向上と価格の抑え込みに努力し続けていますが、こればっかりはどうしようもありません。

 できるだけ、長所と短所を理解し、よく吟味して選んでいくことが大切になります。

  窓のお話をしましたので、ついでに玄関や室内建具のお話もしてみます。

 玄関の建具(ドアや引き戸)は建物の外観の変化に合わせて変わってきました。つまり和風の建物から洋風の建物に変わってきたのに合わせて引き違い戸(ガラガラッと横に動かす扉)から開き戸に変わってきました。これについては意匠の問題なので機能だけでお話はできませんが、玄関の建具は開き戸がお勧めです。これは勝手口の扉についても言えることですが、引き戸はとにかく動きが重い。とても重い。嫌になるくらい重いのです。これは気密性を確保するためパッキンがたくさんついていることが関係しているようです。特に勝手口の片引き戸は、筋トレをしているように思うほどです。ここは無理をせず、開き戸にしましょう。開き戸は引き戸に比べて、非常に種類が豊富ですし、安価なものが多くあります。気密性や施錠にも問題が少ないですし、親子ドアにすると開口幅が稼げるので物の搬入に便利だったりします。

 ここでもやっぱり問題はあるのですが、一つは玄関の外のスペース(ポーチですね)が広めに確保できていないと、毎日とても窮屈な思いをすることになります。玄関の開き戸は基本的に外に開きますので、ポーチが狭いお宅はドアを開ける度にそれをよけるためポーチの階段を1段降りたりしなければなりません。計画の段階であれば、可能な限りポーチは広めにされますように。

 もう一つ、これは私が実際相談を受けたお話ですが、季節風や海風が強いところで、風向きを考えずにドアを付けると、ドアが暴れることがあります。通常玄関ドアはドアクローザーといってちょっとだけ押してやれば勝手に締まる部品が付いています。そう思ってドアを閉めようとしたら風が吹いて、というより風はずっと吹いていたそうですが、ドアクローザーの力を過信したようで、ドアが逆に開いてしまい柱にぶつかったそうです。結局このお客さんの件は、ドアクローザーを強化型(工場などで使うヤツ)に交換したのと、強風下でドアを引っ張るとドアノブを痛めるので、別に持ち手を付けることで解決しました。後で設計と営業に報告しておきましたが、「そんなこと言われても」みたいなことを言っていたので、だめだこりゃ!と諦めました。

 

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 玄関の建具はドアがお勧めでしたが、室内は?というと逆に引き戸のほうがお勧めです。もちろん洋風の内観に対して引き戸はちょっと合わせにくいのですが、そういう場合はリビングドアなど意匠に影響のある所は開き戸にして、洗面や子供部屋や寝室などプライベートスペースの建具は引き戸にされると良いと思います。理由は開き戸の開きしろの問題です。玄関の開き戸でも話したように開き戸の弱点は扉が開くスペース(扉の幅を半径にして約90度分の円弧)が必要です。引き戸にはこれがなく、壁際に扉がスライドできればOKです。それに室内建具の引き戸は動きが軽いです。最近は吊りタイプの物も多く出てきました。ますます動きがスムーズになっています。

 でも、トイレだけは開き戸が良いかもしれません。できれば外開きが良いのですが、内開きであったとしても開き戸が良いです。開き戸には戸当たりといって、扉を閉めたとき扉の上と横が枠から出っ張っている部分にあたるようになっています。引き戸にはこれがありません。何が言いたいのかというと、引き戸の場合、扉を閉めて施錠しても隙間が空いていて、中は見えないと思いますが光が差し込みます。この状況では神経質な方は出るものが出なくなります。よもや、家の中に覗きをはたらくような不届き者がいるとは思えませんが、日本人というのはとかくナイーブなものですから。

 

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 あと、ここだけの話ですが、室内建具調整のメンテナンス依頼があった時、開き戸よりも引き戸のほうの調整が断然楽でした。実際、お客さんのお宅に着いて、ここです、と言われた建具が引き戸だったときは「ラッキー!」って感じでした。開き戸は3次元の調整になるので、まれに頭の中がぐちゃぐちゃになったりしますが、引き戸は簡単です。

 もっとも、そんなことはおくびにも出さず、神妙な顔をしながらさも難しい仕事をしているようにやっていましたけどね。