さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

⑳今回はレンガのお話をします。その1

 みなさん、こんにちは。

 

 今回はレンガのお話をします。

 私同様、マンションやアパートなどの集合住宅にお住まいで、お庭のない方にとっては今すぐ役に立つお話ではないかもしれません。でも将来お庭をお持ちになるかもしれませんので、よろしければお付き合いください。

 

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 季節柄、まだまだ暑いのでもう少し涼しくなってからが良いのですが、コロナ禍で外出がままならないのなら、お庭でBBQ炉やガーデンシンク、あるいはテラス床をレンガで作ってみるのはいかがでしょうか。中にはピザ窯を作っちゃう強者もいるようですが、やってみると案外簡単です。

 

 私はエクステリアのプラン作成から打ち合わせを経て現場管理までしておりましたので、レンガはコンクリートブロックと並んで最も馴染みのある素材です。レンガは現在の日本の法律に照らして考えると、建物の構造材としては使いにくいものになっています。何といっても地震に弱いですから。レンガの中には鉄筋を通してモルタルやコンクリートで隙間を埋める工法もありますが、コストや荷重がかかる割に強度が出ませんので、現実的ではありません。

 ここではガーデニングの素材としてのレンガに絞ってお話します。

 

 そもそもレンガは土を捏ねて焼いて固めたものです。日本のレンガはサイズ・品質がとても安定しているので、使いやすいのですが、風合や製造コストの関係からでしょうか、外国産のものにおされていますね。最近ホームセンターでもヨーロッパやオーストラリア産のレンガをよく見かけますが、個性的な形や色合いものがあり、それはそれで楽しくなってきます。

 ただ、これらの輸入レンガも結構高額です。レンガ1ケの製造コストは決して高くないのですが、とにかく輸送コストがかかります。建築資材は常にこの問題にさらされていますが、レンガやコンクリートブロックは作るより運ぶほうが高くつく代表みたいなものかもしれません。では安いものはないのかと考えたとき、中国産のものに目が行きますが、あまりお勧めしません。別に国のイメージなどで言っているのではなく、経験上中国産のレンガはモロイものが多かったからです。私がショックを受けたのは、落としただけで割れたこと。おかしいと思って両手で持って割ろうとしたらあっさり割れました。全部がそうだとは言いませんが、この時の印象が強く、その後中国産レンガは使いませんでした。

 一応日本ではレンガのサイズを長さ210㎜、幅100㎜、厚み60㎜としています。

 一応としたのはJIS規格ではそうなっていますが、ガーデニングの場合はそんな規格は用がないので、実際は様々なガーデン用レンガが生産されています。海外の規格もまた一様ではありません。

 今回のお話はJIS規格のレンガで進めてみます。

 この規格のレンガは主に赤レンガと焼き過ぎレンガになります。

 赤レンガは文字通り赤いレンガ(やや朱色っぽい)です。

 安価でサイズが安定しており、色ムラもありません。何より良いところは水をよく吸うので、モルタルとの接着がとても強くなります。比較的柔らかいので、タガネ(我々はアメキリと呼んでいました)などで簡単に割ることができます。

 難を言えば吸水性が良いことで汚れが付きやすく、柔らかいことで比較的割れやすいことがありますが、お庭での使用に限って言えば問題になるとは思えません。

 色が単一的なので、好みに合うかどうか、のほうが問題かもしれません。

 焼き過ぎレンガは赤レンガをより高温で焼いたもので、色ムラが大きく出ています。

 また、赤レンガより吸水性が悪くなっており、かなり硬くなっています。金槌で叩いてみると金属音に近い音がします。施工性や加工性は悪くなっている分、硬いので床として敷き詰めると効果的です。ただ、色ムラは表裏の広い面ではなく横の狭い小口に鮮やかに出ているので、これを生かしたい場合は積む必要があります。古めかしい感じが表現できるメリットはありますが、時間の経過とともに目地(モルタル)と剥離してくる場合もあります。まぁこれも大した問題ではありません。問題があるとすれば、値段が赤レンガに対して1.2~1.5倍くらいすることですね。

 あともう一つ焼き過ぎレンガには特徴があります。それはレンガに若干の歪みがあるということです。そもそも焼き物なのでその恐れはりますが、焼き過ぎレンガは赤レンガよりはるかに高い温度で焼きますので、それが顕著になります。と言っても、大きく捻じ曲がるのではなく、少し反りが出るのがほとんどです。目で見てもよくわかりませんが、まっすぐなものをあてがうとよくわかります。床に敷くときに真ん中が膨らんでいるほうを上にして敷いていくと編み物のように見えてきれいになる上、レンガ同士の隙間に水が落ちるので、排水性も良くなります。

 レンガは上にサイズを書いたようにとても小さいものです。花壇などでレンガをウマ積みする場合、1㎡あたり65~68ケ必要になります。敷く場合でも1㎡あたり49ケ必要です。つまり赤レンガ1ケ100円としても積む場合6,500~6,800円、敷く場合4,900円がレンガ代だけでかかるわけです。小口積みやイギリス積みをすればその2倍、3倍とかかってきます。レンガの弱点はこの1㎡あたりの施工単価の高さですね。

 

 さて、実際にレンガを積むなり敷くなりする場合、ただ積み木のように積んでみたり(空積み)、床に敷き詰めるだけならばレンガだけで十分ですが、きちんと固定したい場合はモルタルが必要になります。モルタルというのはセメントと砂と水を混ぜたもので、時間がたつと固まります。このモルタルに砕石を混ぜたものがコンクリートになります。

 このモルタルについても少しお話しておきます。

 モルタルはレンガ積みの場合セメント:砂=1:3くらいの割合で混ぜます。

 実感としては、もう少し砂の量を増やしてもいいかもしれません。

 ちなみに左官さんが壁を塗る場合はセメントの量を増やします。これは余談ですが。

 最近はホームセンターでインスタントセメントとかドライモルタルと言って、すでにセメントと砂を混ぜたものを売っています。それぞれ単体で買うより割高ですが、いちいち配合を考えなくて良い分楽ちんです。少量の場合はこの手をつかうに限ります。ではレンガを積む場合、どれくらいのモルタルがいるのかというと、1㎡積む場合はドライモルタル20㎏1袋でいけると思います。なので、300ケのレンガを積む場合ドライモルタル20㎏を4袋程度で大丈夫です。ただ、これだけでは足りません。レンガを積む下地になる基礎が必要です。幅15㎝高さ8センチ程度の基礎を1mくらいモルタルで作る場合、ドライモルタル20㎏が2袋くらい必要です。この基礎のことを忘れる方が多いので気を付けましょう。尚、基礎とバーベキュー炉の底盤を兼ねて1㎡程度の土間を打つ場合、厚みを同じ8㎝としたら、ドライモルタル20㎏を12~13袋必要になります。金額よりも、どうやって持って帰るのか?またこれを全部煉るのか?という問題が起きてきます。そこまでやるのであれば、建材屋さんに配達してもらったほうが良いのかもしれませんね。

 レンガを敷いていく場合はドライモルタル20㎏に砂20㎏を加えて混ぜると良いでしょう。レンガの下に敷くモルタル(薄めたモルタルもどき)を5㎝の厚みとした場合、

1㎡あたりドライモルタル20㎏を5袋に砂20㎏を5袋程度になります。

 こういうモルタルのことを骨材と言いますが、レンガやブロックの施工の場合、同じくらいの量で骨材が必要になることが煩わしいところです。

 

 さて、レンガとモルタルのお話をしましたが、その他必要な道具について申し上げますと厚手のゴム手袋とスコップ(シャベルとかショベルとも言います。もしあれば角形)とバケツ、コンパネ(合板。厚めのほうが良いです。できれば1.8m×0.9m)、塗装用の刷毛(100均)、5㎝角で長さ1mの角材(木材、出来るだけまっすぐなもの)くらいでしょうか。バケツは複数あったほうが便利です。鏝はお好みでどうぞ。鏝の代わりに移植ゴテでも良いのかもしれません。鏝を使う場合はゴム手袋ではなく軍手で大丈夫です。あと、水平器や水糸、ブルーシートなどでしょうか。

 最近は100均の園芸やDIYコーナーがかなり充実していますので、ある程度の道具はそこで購入されると良いと思います。また、一度に全部用意してしまうと楽しい時間が短くなります。材料や道具を揃えていく作業も楽しんでいただくことがガーデニングの質を上げるコツだと思っています。だって、DIYガーデニングは自己満足の追求ですからね。失敗した経験も実に味わい深い思い出になるというわけです。

 仕事での失敗は決して味わい深いのものなどではなく、良く言ってもほろ苦いだけですが…。

 

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 少し長くなりましたので、一旦ここでお話を切ります。

 次回、施工編をお話したいと思いますので、よろしくお願いいたします。