さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

166 変な会社がありましたので、そのお話をします。

 みなさん、こんにちは。

 

 前回、ファミリーマートのお母さん食堂について店内で食事できるようにしてって書きましたが、間違いでした。総菜商品のシリーズ名でした。訂正してお詫びいたします。

 う~ん、何かとごちゃ混ぜになっていたみたいです。

 さて、今年の年末は何をして過ごそうかと考えた結果、またまた「ローマ人の物語」の読み返しをすることにしました。というより、そうなっちゃいました。

 ちょっと前にローマについて触れたんですが、その時うっかり第1巻に触れてしまって…、そうなると、やっぱり読んじゃいますよね。で、さらにそうなると最後まで読みたくなっちゃいます。まぁ、あれこれとアメリカがどうだ、日本の政治がどうだと妙なことを書いていましたので、初心に立ち返る意味でハードカバー全15巻、頑張って読んでみます。…といってももう5回以上読み返しているような気がします。たぶん途中で「ギリシア人の物語」(全3巻)を読んだり、読み終わった後で「ローマ亡き後の地中海世界」(全2巻)を読み、「十字軍物語」(全3巻)へ進み、「皇帝フリードリッヒ二世の生涯」(全2巻)まで読んじゃうんでしょう。

 まぁ、それもいいでしょう。楽しいので。

 

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 それで、本題ですが、昨日年末なのに鬱陶しいことだとして、ちょろちょろした事に触れましたけど(一部間違えちゃいました)、結構面白いですね。面白いというと不謹慎かもしれませんが、変わってるなぁと思ちゃうんですよね。バカバカしいというか、何というか…。で、私の好みの問題かもしれませんが、どちらかというと革新系の方々のことがよく問題にされている印象があります。左翼の方とかフェミニストの方とか。ツイッターでは基本的に価値観の近そうな人をフォローしているので、なおさらその傾向が強いような気がします。

 そこで、今日はバランスを取るわけではありませんが、若い頃、勤めていた会社の元請けさんに変な会社がありましたので、そのお話をします。

 当時私はエクステリアの会社に勤めていたので、ハウスメーカーや建設会社が元請け会社になっており、そこにルート営業みたいなことをしていました。他の業種はどうなっているのか知りませんが、当時の建築関係の元請け下請けの関係は業者会のような組織をつくって、そのなかでの付き合いがほとんどでした。現在は少し減ってきているんでしょうけどね。で、問題の元請けハウスメーカーさんですが、この会社は年商1000億円で全国展開していました。それはいいんですが、この業者会は前面の壁に日の丸の国旗と社旗と業者会旗を並べてはり、会の最初に国家斉唱をします。国旗を掲揚するところは他にもありましたが、国家斉唱はそこだけでした。

 私が勤めていた会社はちょうど代替わりになり、新社長(前の社長の息子さん)はその元請けさんの創業者が立ち上げた政治活動に傾倒していました。で、私はその元請けさんの担当。も~最悪です。

 業者会は元請けの所長さんが威圧的なものの、国家斉唱の後は他の元請けと相違なく進行します。それはいいんですが、私の会社の社長があまりにもその元請けの創業者さんのことが好きすぎて、元請けの朝礼に我々社員を参加させるって言いだしたから大変です。そもそも、いくら仕事上付き合いがあるとは言っても、よその会社の朝礼に参加するなんて非常識です。オブザーバーとして見学するといっても変な話なのに、一緒に朝礼って、…。案の定朝礼開始と共になぜがビルの6階から階段で1階におります。その後整列してジョギングです。「ワッショイ!ワッショイ!」の掛け声が寒空に響き渡ります。そして6階のオフィスに戻り体操、国家斉唱とここまでやってから、実質的な朝礼に入ります。その朝礼に参加していたのは社長と私と同僚男性(空手の師匠)、同僚女性(私の前の担当者)の4人でした。まぁ、社長はノリノリですし、私と同僚女性はある程度察しがついていたので、枯れ果てた心でもなんとか自我を保って営業スマイルをしていましたが。同僚男性は限界を超えてしまったのか絶賛不貞腐れ中でした。

 文字であらわすとそれくらいどうってことないじゃん、ジャンジャン。となりそうですが、この同僚男性にすれば「なんでオレらがよその朝礼に出にゃならんの?」に始まって「駅前でワッショイ言いながらジョギングなんかありえんじゃろ!クソ恥ずかしいわ!」となり、「わけのわからん事言われて、なんで怒られにゃならんの!?」となるわけです。不貞腐れていたから、所長さんにこっぴどく叱られたんですね、この人。この人は空手の師匠でもありますので、一緒に飲みに行くとよくこの時の話が出ます。今も半分笑いながら、半分怒っているようです。

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 この元請けさんの変わっているところはそれだけではありません。

 毎年、忘年会ともなれば、業者会による寸劇をしなければならないんです。寸劇ですよ、小学校じゃないんですから、いい年をした大人がって思うんですけどね。一応当番制なので、毎年ではありませんが、私は主演をさせていただきました。寸劇のタイトルは「シュバイツァー博士」でした…。週に2~3回仕事が終わってから、どこかに集まって練習です。私は他の年の演目は知りませんが(社長がケチって忘年会は自分だけで行っていたから)、「山中鹿之助」とかやっていたんでしょうね。そういう会社です。

 他の業者さんに不満はなかったのかというと、実際不満だらけでした。ただでさえ現場の段取りが悪い、発注金額は施工後に値引き依頼してくる、その上この右傾化した政治思想の押し付けですからね。みんなブーブー言っていましたが、仕事欲しさに我慢しているようでした。そして言っていました、「日の丸も君が代も好きなんだけど、強制されると嫌いになりそう」って。そりゃそうですよね。

 この元請けさんの創業者の方は、変わったことをおっしゃる方で、出来損ないを雇って立派な日本人に育て上げると公言して憚らない人でした。…ということは、社員さんは出来損ないですか?どうもそのあたりは本当にそう思っているようで、仲良くなった元請けの監督さんから社内研修の内容を聞くと、思わず涙を流してしまうほど過酷なもののようでした。ですから、創業者さんは下請けの人間も同じようなもんだって思っていたのかもしれませんね。本当にいい迷惑でした。

 しかし、悪いことばかりではなく、この元請けさんの社員の方々は一部(所長とかベテランの嫌味社員)を除いて純朴な方が多く、段取りは悪いんですが、元請け根性丸出しみたいなことはほとんどありませんでした。だから、余計に不憫だったんですけどね。

 ある時安全大会っていうのがあり(どの業者会でもあります)、これは元請けの社員と下請けの担当者が集まる会なんですが、お得意の寸劇をやっぱりやらされました。演目は「出来の悪い元請けの監督」…です。ひどいでしょ。で、私は文句を言うお客の妻(?)役で出演させていただきました。聊か誇張されているとはいえ、実際におきた対応の失敗を演じるものだから、客席から「そりゃ、そのまんまじゃが!」の声に場内シーンとなった後、乾いた笑いがフワ~ッと会場を包みました。若い監督さんはちょい涙目でした。何もみんなの前で暴露することもないですよね。

 まぁ、そういうちょっと変わった元請けさんでしたが、一部を除いて良い方ばかりで、仲良くやってるように思っていたんですが、ある時それすら偽装されたものであることが分かりました。

 なんでも新しい事務所に移転するとかで、下請け業者にも引越しの手伝いをするよう要請がありました。普通ありえませんが、まぁいいです。で、件の空手の師匠と二人、やっぱりブーブー言いながらお手伝いしてました。あとは机と椅子を運び出すだけになり、それぞれ社員の名前を書いた紙が貼ってあったので、恨みのある人の机には落書きをしたりしながら運び出していたら、一つだけ紙ではなく茶色のガムテープが貼ってある机がありました。そのガムテープには「犬」って書いてあり、師匠と顔を見合わせて、「西口(仮称)さんのだ~!」とその場で悶絶してしまいました。この西口さんは元請け社員さんの中で最も朗らかで優しい監督さんで、年も近かったことから我々は特に仲良くさせてもらっていた方でした。ちょうど、この日は体調を崩して休みだったんですが、よりによって「犬」って…。この切れ味の鋭さに、二人とも当分の間その場でうずくまったまま動けませんでした。なんとなくこの西口さんへの扱いが分かりますよね。

 それにしても、はたから見ると実に仲良くやっているような人達でも、実際はいろいろあるもんですねぇ。「犬」と書いたのは営業の方々で、私からするととても良い方だと思っていたんですが、わからないものです。

 後日、西口さんと現場で話し込んでいる時、不意にその話をしてしまったら、「うちもいろいろあるんよね。頼むけん、他では言わんようにして」とぽそっと言いながら、目が潤んでいるのを見て、不覚にももらい泣きしてしまったものです。

 

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 ちょっと昔の話で恐縮ですが、今懐かしく思い出しながら書いてみました。