さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

60 釣りの師匠

 みなさん、こんにちは。

 

 10月も下旬にさしかかり、今年もあと2ヶ月余りとなりました。早いものですね。

 年末のお話をするのは少し気が早いのかもしれませんが、今年はコロナのこともあり、気になってしまいましたので書いてみます。

 私は年末に釣りの師匠と師弟対決をさせていただいています。

 ここ十数年毎年です。1~2回は悪天候でお話をしただけ、という回もありましたが、それ以外は欠かさずお付き合いいただいています。私の釣りの師匠は瀬戸内海沿岸のまちにお住まいで、そこは家の前に道路を挟んで小さな波止場があるという天国のような環境です。また、海を挟んで向かい側に小さい島があるため水道のようになっており、瀬戸内海のなかでもかなり潮が速いところです。もともと瀬戸内海は干満の差が激しく(2mくらいは当たり前のように上下します)、潮が速いんですけどね。

 ですから、ウキを投げて仕掛けが馴染むころにはウキの位置が大きく移動しています。はっきり言って、釣りをやりづらい環境ですね。その代わり、魚の付きは良いようで、師匠は何気なく「ちょっと釣れちゃいました~」と軽い感じでメールをくれたりしますが、添付されているのは70㎝くらいのコブダイの写真だったりします。チヌ用の細いタックルと仕掛けでこれをやるんですから、相当な腕ですが、何よりその軽い文面とボリュームのある釣果が私の心を激しく揺さぶります。

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 師匠は主にふかせ釣りをされていて、私もしっかり教えていただきましたが、他の釣り方もちょこちょこされていて、あまり変なこだわりは持っておられないようです。こだわりがあるとすれば、自分の生活圏の中で釣りをする、ということでしょうか。なにしろ自宅から車で10分くらいの範囲で釣り場が3~4か所あるようなところですから。わが町にも釣り場があるので、一度お越しくださいと誘っても、いつも師匠は上のようなことを言ってやんわりと断られます。でも、それだけではないように思います。

 師匠にとって釣りは大切な趣味です。でも優先順位で言えばご家族のほうを完全に優先されています。ご家族をほったらかしにして釣りに興じるなんて言う事はありえないことのようです。まぁ、だいたい家の前でやっているので、ご家族としても何かあればすぐに呼べますから問題ないのでしょう。

 そんな師匠との出会いですが、実は私のお客さんでした。

 以前勤めていた会社は師匠の自宅も施工エリアに含んでいて、私はエクステリアを担当していました。師匠はその時のお客さんでご自宅のエクステリアも私が担当しました。敷地も広く、結構大規模な工事をさせていただきましたので工期も長くかかり、その間にふかせ釣りを仕込まれたわけです。

 師匠が在宅の折には、現場の職人さんとの打ち合わせが終わると、目の前の波止で釣りをするという不良社員でしたが、幸い職人さん方は当時目上の方ばかりで「しょうがねぇなぁ」と見て見ぬふりをしてくれました。いやぁ、いい人たちでした。ただ、時間にしてほんの小一時間といったところなので、私自身他の業務に支障が出るわけでもなく、軽い息抜きとお客さんの接待気分でやっていました。本格的に教えていただいたのは工事完了後で、春、夏、冬の3回くらいのペースで毎年ご指導をいただきました。その後、私は瀬戸内海沿岸の町から今のわが町に移りましたので、今では毎年年末にご指導いただいています。

 あ、ちなみに師匠は学校の先生です。しかし、お客さんだったころうっかり職業をお聞きしていなかったので、いまだに~先生とは呼ばず、~さんと呼んでいます。今さら~先生と呼んでも、かえって見透かされてしまいそうで…。

 それで、先生というからには教え方も熱心で細やかなものかと思いきや、「自分はこんな風な釣り方をします。まぁ、コツはタナを維持して流していくことかな」くらいしか言いません。そのくせ新しく入手した竿などの道具については熱く語ってきます。要するに師匠にとって私は弟子ではなく、釣り仲間なんでしょうね。竿やリールだけでなく、ウキやらハリスや針、はてはウェアに至るまで何か新しいものを手に入れるとその説明を楽しそうになさいます。でも、竿は絶対中古なんですよね。確かに新品で買うと10万円くらいしそうなものがその半値以下で手に入るんでしょう。師匠も、お小遣いの範囲でやってるからって言ってました。だけど、単にお金の問題ではなくって、いろいろな竿を使ってみたいからなんじゃないかな、と私はにらんでいます。その証拠に気に入らない竿はさっさと売ってしまいますから。これも一つの考え方ですね。私は新品の竿を買って、それを粉々になるまで使い倒してやる!っていう人間ですから、かえって硬さの違う竿を買ってしまい、竿が増えてしまいます。あ~断捨離しなきゃいけないのに…。

 さて、そんな師匠との師弟対決ですが、…今まで一回も勝ったことがありません。狙う魚はチヌで、数勝負になります。1回だけ1枚ずつで引き分けたことがありますが、大きさがあまりにも違うので…、とても勝ったとは言えませんでした。

 師匠は私が遠方から来ていることもあり、その日の潮を考えて一番いいポイントを譲ってくれます。確かに釣れます、…チヌ以外が。私が潮の速さに戸惑っていると、「こんな仕掛けでやってます~」と自分の仕掛けを見せてくれます。すかさずウキとおもりをチェックしますが、どうも軽い仕掛けなんですね。潮が速いっていうのは流れが速いっていうことなので、おもりが軽いと流されてしまい餌を付けた針が魚がいそうなタナ(水深)まで沈んでくれません。でも、それについての師匠の説明を聞いても、私はちょっと要領を得ません。何しろ感覚的な説明で「これをこんな風にこうするとこうなるよ」(原文ママ)という説明です。・・・いや、わかるわけないしですし。自然と師匠の釣りを観察するようになります。「そんなに見つめられると…」と、ちょっと頬を赤く染めながら恥じらう師匠にげんなりしながらも、何とかしてその技を盗んで釣果につなげたいので、こっちは必至です。

 やっぱり上手な人は糸やウキを自在に扱います。一生懸命サルマネをしてみますがうまくいきません。で、結局おもりを足してしまうので竿先でアタリがとれなくなります。それを見て、師匠も少し気の毒そうな顔をしてくれますが、勝負には一切情けをかけてはくれません。10mくらいの距離で、一方はパシパシ釣っているのに、もう一方はシーンといていることが、ほぼ標準的です。一度3~4枚チヌが釣れたことがありましたが、その時師匠は二桁の枚数でした。

 でも、不思議なことに私の心に劣等感など微塵もありません。

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 まぁ、楽しいからでしょうね。釣りってそれぞれが竿を出していると、離れていることもありそんなに会話はしません。潮が止まったりアタリがなくなったりするとちょっと休憩して話をしますが(ほとんど新しい道具の話)、それ以外は淡々と自分の釣りをしているだけです。しかし、私は尊敬している人や気の合う仲間と同じ釣り場で竿を出していることだけで、結構満たされてしまいます。だから勝てない、とは思いません。そもそも勝負っていうのは理由付けですからね。

 なんとなく一緒に釣りをしていて楽しくなる人。師匠のことをうまく表現できなくてもどかしいのですが、一言で言えば、私にとって師匠はそういう人です。

 今年はコロナの影響でどうなるのかまだわかりませんが、もし師匠の都合がよろしければ、お付き合い願いたいと考えています。

 ただ、毎年のことですが12月の30日や31日にお伺いするのは非常識との誹りを受けそうで…それだけが毎年気がかりです。