さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

87 あ~、久しぶりの釣りだったのに~。

 みなさん、こんにちは。

 

 涼しくなって1月以上経ったように思いましたので、釣りに行ってきました。

 今年は少しおかしいんですよね。といいますのも、魚が小さいんです。

 以前、知人親子と釣りをしたとき(ボウズだった時です…)も、釣れたアジは5㎝くらいでしたし、その後タモが水没した(涙)ときも過去最小を記録したくらいです。

 海がおかしくなっちゃったんでしょうか?

 毎年夏から秋にかけて、私は行きつけの波止で主にアジを狙います。たまにチヌが釣れたりしますが、どちらかというとアジ狙いです。夏のチヌはあまり美味しくありませんし、サイズも小さいのが多いんです。ですから、アジの方がいいんです。

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 撒き餌を打ち、魚を寄せてその群れの底近くにいるはずの大きめのアジを狙います。

 0号か0,6号のチヌ竿で道糸1,5号、ハリス1,0号です。針はチヌ針2号ですね。

 撒き餌に対して、魚の反応はイマイチで、なかなか集まりません。おかしいなぁ、時合じゃないのかな?と思っているとフグやフエフキダイの仲間がぽつぽつ釣れ始めました。でも小さい。外道(狙っていない魚)なので逃がしますが、それにしても5㎝くらいしかありません。そのうちマダイの子も混じってきましたが、やっぱり小さい。

 昨年のこの時期、このポイントでは20㎝前後のアジがたくさん釣れましたし、フグなどもいらないけどそれなりに大きかったのに。う~ん、どうしたものかと思っていたら、小アジの群れが回ってきました。やっぱり小さいですね。それでも辛抱強く撒き餌を打ち、底のあたりに付けエサ(針に付けた餌)のオキアミを沈めてみるのですが、小アジに餌をとられて釣りになりません。まぁ、これは想定していたことなので、撒き餌より沖に仕掛けを投げて、様子を見ることにしました。一応アジが釣れました。でも10㎝前後ものばかりでした。

 かれこれ10年近く通っているポイントですが、こんなことは初めてでした。アジが回って来なくて、外道しか釣れないってことはありましたが、この時期のアジがこの大きさって???

 数は釣れていますが、なんかスッキリしませんし、全然楽しくないので、早々に切り上げることにしました。片付けをしていると、漁師さんと思われるおじさんが「もうやめるのか。釣れなかったか」と声をかけてきたので、「いやぁ、小さいのばっかりで、面倒になったので」と答えると、「今年は近場に魚が寄ってこんからなぁ。沖に出ればそこそこ釣れるんだけどな」って言ってました。さらに続けて「どっちにしても水温が下がらんとどうにもならん。あれだけ雨が降っても夏の暑さには勝てんようだ。まぁ、もう少し寒くなったら戻ってくるかもしれんけどな」だそうです。

 あ~、久しぶりの釣りだったのに~。

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 片付けを中断して、数人の知り合いに電話で聞いてみたんですが、やっぱり波止や丘からの釣りをした時同じようなことが起きているようでした。ただ、磯ではそうでもなく、潮通しの良いところなら大きい魚混じっているとのこと。要するに港の港内や湾状になったところは潮があまり動かないので水温が下がり切らず、いまだに大型の魚は少ないんじゃないか、とのことでした。

 相変わらず事前に調べておくということをあまりしないので、こんなことになっちゃうんですよね。まぁ、理由がわかればそれでいいので、竿を1,5号(ちょっと硬い)に変えて、ウキも遠投が効くものにして撒き餌が届く範囲の一番遠くを狙っていることにしました。この時点でボウズは当然覚悟していましたが、さっきみたいに小魚がひっきりなしにかかるよりはマシです。

 釣りをしながら飲むコーヒーは格別です。小さな波が波止にあたる音やカモメやウミネコの鳴き声があれば音楽などいりませんし、ぼんやりとウキや海面を見ているのは心が和みます。うむうむ、なかなか良い感じ。風がほとんど無く、薄く雲がかかった状況も相まって、さっきまでの小魚問題は遠い記憶のかなたに消えていきそうでした。

 突然、私の悦を乱したのは一組の親子でした。小学生かな?と思える男の子を連れた30代くらいのお父さん。むむっ、ライフジャケットをつけていない!こいつはとんだ食わせもんだな!と見当をつけていたら、「ちょっとお騒がせしますが、よろしくお願いします」と慇懃な挨拶をされちゃいました。適当に返答しながらよく見ると竿を1本しか持ってきていません。仕掛けはサビキ釣りのようでしたが、い、いかん、これはなかなかの手練れと見た!とひとり心の中で大騒ぎしていました。挨拶といい竿を1本しか持って来ないことといい、実に見事です。竿を1本というのはおそらく子供さんに釣らせて、自分はそのサポートに回るつもりなのでしょう。最近こういうパパさんが増えているようで、なかなか良いことだと思っています。それぞれが竿を持っていると、どうしても子供が飽きてしまい予想外の行動をします。昔のようにその場にいる人が適当に相手をしてやれるようならまだいいのですが、最近はそれをみんな嫌がります。

 なぜ嫌がるのかをここでお話するには、スペースが足りないので先に譲りますが、サビキ釣りなんていう忙しい釣りの場合は、親は子供が飽きるまで釣りを満喫できるようサポートに回った方が、自分たちにとっても周囲の人にとっても良いと思っています。

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 そうこうしているうちに、子供のはしゃぐ声が聞こえ始めました。フィーバー状態に入ったようです。で、こっちはシーンとしています。あれっ、これってデジャブですか?なんとなく、今年の夏にも同じようなことがあったような気が…。そのうちパパさんが「あんまりはしゃぐな!」的なことを言っているのが聞こえてきました。波止には私とその親子しかいません。私に情けをかけたのか?それとも私を挑発しているのか?いずれにしても私に対する挑戦状とみてまず間違いないでしょう。(?)

 私はその挑戦(?)を受けて立つことにしました。といいますのも、先ほどから餌の取られ方に変化がみられていたからです。一定の距離で餌をとられるところと取られないところの境界が見えてきました。本命(大きいアジとかチヌ)が釣れるとしたらここだな!と狩人としての勘が私に囁きかけます。あとはウキの様子を見ているばかりですが、対する子供さんのフィーバーはさらに激しくなり、パパさんの制止はかえって火に灯油を注ぐことになったようで、実に燃費よく燃え続けていました。

 あせるな、必ず勝機はおとずれる!と自分に言い聞かせながら、後ろから浴びせられるノイズに動揺しそうな心を励まし続けました。でも、いい加減うんざりしてきたので、軽くコーヒーでも飲もうと缶コーヒーに手を伸ばした時、あれ、ウキがない!と気が付き、竿を立てて糸を張ってみるとコンコンとあたってきます。「フフッ、どうやら網にかかったようだな」と口元が緩むのを必死で抑えながら竿を煽ってあわせました。首を振っているのかチヌに似た引き方をしますが、何となく違う。それに重さのわりに引きが弱い。う~ん、なんだろう?まさか大型のフグ?竿を変えたとき仕掛けも太くしていたので、糸を切られる心配はありませんでした。ですから、やり取りを楽しむわけでもなく引き寄せてみると、ちょっと赤い!あ、アコウだ!生き残りの5mのタモですくい上げ、フーッと勝利の余韻に浸っていると、後ろが妙に静かなのに気が付きました。この静けさこそ勝者に対する最高の賛辞なのです。

 釣れたアコウ(キジハタ)は30㎝をちょっと超えるくらいの大きさで、針を飲み込んでいましたので、持って帰ることにしました。もっともこのアコウはあまり大きくなる魚ではないので、針を飲み込んでなくても持って帰ったと思います。

 およそ1時間以上後方からの精神的抑圧(?)に耐えてきた甲斐があったというものです。さすがに疲れたのでアコウはスカリに入れず、すぐに〆て血抜きをし、クーラーに入れました。その間一度も親子に視線を向けていません。これは戦士の掟であり、狩人として当然の振る舞いなのです。その後すぐに片付けをして、静かになった親子の横を通る時「お先に」とだけ言って、その場を後にしました。うん、これで完璧です。

 ただ、すれ違う時、彼らのバケツの中をチラッと見たら、おびただしい数の子アジが入っていました。おそらく今晩はから揚げにするのでしょう。5㎝くらいのアジは骨まで食べれるのでから揚げにしたほうが美味しいのです。たくさん釣れたみたいだけど、ライフジャケットを装着していないのは減点だからね!と心の中で軽く注意しておきました。勝者にのみ許された心の働きです。

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 まぁ、何とか1匹釣れたので良かったのですが、普段釣れなくても平気と嘯いているくせに、精神的抑圧(?)を受けるとすぐに動揺しています私。これには困ったものです。まぁ、一人で勝手に妄想して盛り上がっているだけで、誰にも迷惑をかけているわけではないので、これぐらいは許していただきたいものです。

 ただ、もう一人の私が、なんか、こう、まるで変質者を見るような目で私を見ているのが気になります。