さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

61 対応は二流、予防は一流

 みなさん、こんにちは。

 

 前々回で池袋暴走事件に触れましたが、みなさんは現在の日本における自動車事故の状況をご存じですか?

 自動車事故による死亡者が年々減少していることは知っていましたが、どのような推移で減少したのかちょっと興味が出たので調べてみました。でも、役所の資料はわかりにくくって(おサルのおつむですので)、結局三井住友海上のHPにあった「自動車事故の発生状況」でようやく理解できました。これ、なかなかわかりやすくて良いですよ。

 それで、死亡者数ですが、この表では平成7年の11,000人弱をピークに減少し始め、平成29年には3,694人だったそうです。すごいですねぇ。たしか昭和の頃は年間20,000人近く亡くなっていたような気がしますが、本当に少なくなりました。もちろん0人が一番良いに決まっています。でも、やっぱりすごい。警察や自動車メーカー、運転手等々関わっている人達の不断の努力に改めて敬意を表するものであります。キリッ!

 自動車事故の発生件数も平成16年の1,200,000件弱をピークに平成29年には600,000件弱に減っています。フムフム、これもたいしたものです。…もうちょっと少なくなってほしいんですが。…まぁ、いいでしょう。

 

f:id:sarukichitail:20201029162529p:plain

 話は変わって、昨日のニュースですが、今年の豪雨災害にあったとある田舎町で集団移住の話が出ているそうです。豪雨災害の被害は床下浸水程度で、今すぐに住む家に困っているわけではないのですが、長年大きな河川の近くに住んでいて、被災したのも今年が初めてではなく、さらに住人は高齢化しています。また川が氾濫した時安全が確保できないとの判断から、行政も一緒に住民と協議を進めているそうです。

 この案のハードルは結構高くて、住民側には住み慣れた住居を離れることへの心的負担や少なくない経済的負担、さらにはある程度まとまって移住しなければならない条件などが重くのしかかります。行政側もまだ住めなくなったわけではないのに税金を投入できるのかどうかという問題があると言っています。

 私はこうした動きを大変評価しています。結果的にどうなるのかは当事者の話し合いで決まることなので、部外者の私がどうしろこうしろと言うことはできません。しかし、災害を予想し被害が出る前に住民と行政の協議によって手を打っていく姿勢は、大規模な公共工事を行うやり方に一石を投じるだけでなく、実現すれば圧倒的に短い期間と少ない予算で被害を防止することができます。

 こうしたことについては他にも様々な議論があって良いと思います。

 しかし、今回の件が私にとってとても新鮮に感じられたのは行政だけで進めるのではなく行政と住民が共同で話を進めているところでした。

 なんとかあのおじじやおばばが納得いく形で安全を確保してほしいものです。

 

 今回どうしてこのような話をしているのかと言いますと、どうも世の中予防に対する認識が低いと言いますか、その重要性を理解していないような気がしたからです。

 

f:id:sarukichitail:20201029162459p:plain

 私は以前住宅メーカーのアフターサービスの仕事をリフォームやエクステリアと兼任でやっていました。この仕事は本当に精神的な負担が大きい仕事です。なにしろ、ひどく怒っているお客さんのところへ行って問題を解決しなければなりませんから。

 で、ある日朝っぱらからクレームの電話が入りました。引き渡して1ヶ月もたっていないお客さんからでした。怒りながら「金を返せ」「消費者センターに訴える」「社長を出せ」とえらい剣幕です。本来引き渡したばかりのお客さんですから、営業担当や工事担当が電話を替わって話をするべきですが、したがりませんでした。社長もそっちで解決してよって感じで距離をとっていました。仕方がないので私が電話で話をして、すぐにお客さん宅に行って話をまとめて帰りました。要は契約したとおりになっていないことに今気が付いた、どうして引き渡しまでに言わなかったのか、こっちが気が付かなければそれでいいとでも思っていたのか、みたいなことを延々と言われ続けました。聞いていて私もそりゃそうだ!と思いましたので、そう言ってしまったら、とりあえず間違っていた商品の差額をお返しすることで許してくれました。

 会社に帰ってからそのように報告したら、「さすが!」とか「やっぱりうまく解決するよね!」とか言ってこちらの機嫌を取ってきます。関わっていなかった人がそう言ってくれるのなら、まぁいいんですけど、営業担当や工事担当も一緒になってそう言ってきたのにはちょっとイラっとしてしまい「いい加減にしてください!そもそも問題を解決するより、問題を起こさない方が良いに決まっています。今回の件はモノを間違えた時点でお客さんに詫びておけば問題にならなかったでしょ!」って言っちゃいました。シーンとした後、社長が「そこまで言う事ないでしょう。問題になるかどうかなんて誰にも分らないんだから」と言っていました。あのう、話聞いてました?って言いそうになりましたが無駄なことだと思いやめました。

 今その会社は辞めて、何のつながりもないので安心ですが、こうした人は世の中にたくさんいます。

 政治家の先生方が「そうした事態にどのように対応するべきか、日々協議しております」とか言っているのは、何か起きたらその時考えると言っているのと同じです。この点に気を付けて国会の議論を聞いていると、その先生のスタンスがわかってきますよ。

 

 予防と被害が出てからの対応とではかかるコストが全く違います。予防に関心が薄い人は、「起きるのかどうかわからないものにお金を使うのはどうだろうか」「そんなことをしてもし起きなかったらどうするんだ」なんて言いますが、実際に被害が出れば物質的にも経済的にも回復に時間がかかりますし、人的被害が出た場合は取り返しがつかないこともあります。

 まぁ、民間の会社に予防の重要性を理解できない人が一定の割合でいるのは仕方がありませんが、せめて政治家や役人にはそういう人がいないように願っています。

 上に挙げた死亡事故減少や豪雨災害への予防だけでなく、私も知らないところで予防的事業は数多く進められていると思いますが、できるだけメディアでも取り上げていただき、その認識を広めていただきたいと思っています。

 

 余談ですが、東日本大震災で福島の原発事故があった時「想定外」っていう言葉を言う人がいっぱいいました。

 私は原発について闇雲に反対するものではありませんが、少なくともあの事故を「想定外」と考えている人が上層部にいるのであれば、原発再開には反対ですね。経営陣のモラルが疑わしい関西電力の管轄している原発については、問題外です。一旦人間の制御から外れてしまうとどうしようもないようなものに倫理に欠ける人々が関わってはいけません。まぁ、これを言ってしまうと、原発はもう無理かもしれませんねぇ。

 学術会議の方々も、本来の研究者に立ち戻って「雷さん発電」を研究していただけないものでしょうか。電気を得た上に雷さんが地上に落ちてこないなら一石二鳥だと思うんですけど。