さるきちのしっぽ

おサルのおつむでゆる~くお話ししますので、よろしければお付き合いください。

㉞今年もUSオープンテニスが開幕しました。

 みなさん、こんにちは。

 

 台風がようやく過ぎていきましたね。

 被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

 さて、コロナ禍のなか、少しずつスポーツイベントが条件付きながら開催されるようになってきました。

 無観客だったり、少人数の観戦は認めるものの、大声を出して応援してはダメという条件が付いていたりと、多様な対策がなされています。それでも、頑張って開催している運営の方や選手の方には敬意を払わずにはいられません。とてもありがたいことです。

 まぁ、何となく雰囲気はいつもと違うので、盛り上がれるのかは疑問がありますが、それでもそれを楽しみにしている私としてはやっぱりうれしいのです。

 

 今年もUSオープンテニスが開幕しました。

 とてもうれしいです。

 何を隠そう(?)、私は学生時代にテニス部に在籍していました。一応学内の体育会の部でした。その関係で、テニススクールのコーチのバイトもしていました。

 今になって考えてみますと、私のテニスに対する考えが醸成されたのは、どっちかというとスクールのコーチ(大学テニス部OB)の方々にいろいろと教えていただいたからだと思います。ですから、テニスという競技については少しだけ深いところをわかっているつもりの私なのです。

 深いところっていうのは、技術、戦略、戦術もそうですが、選手の心理的なところについて、ということです。

 で、今回のUSオープンですが、さっそくコロナ禍での大会という特殊な環境の影響が出てしまったようですね。そもそも人との接触を減らさなければなりませんので、それまでの大会では当たり前のようにしてもらっていたボールパーソンからのサービスも限定的になりましたし、大会期間中はホテルと練習場と試合会場以外に行ってはいけないという規制が設けられてしまいました。そうしたいつもと違うことに対応しきれていない選手は相当ストレスを感じているようで、加えて自分のプレイに歓声を送ってくれる人もいないわけですから、ますますストレスフルになっちゃいます。

 劣勢の選手がケガもしていないのに途中棄権してみたり、第一シードのジョコビッチ選手がラインジャッジの女性にボールをぶつけて(わざとではないそうです)失格になってみたり。まぁ、この二つはありえないようなことなのですが、他にも見ていると選手は全然ノッテいないし、イラ立ちを抑えきれなくなっているようで、試合の次元がちょっと低くなっているようです。

 だから、あまり面白くありません。あ、ちょっとは面白いですよ。本当に。

 

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 今回のUSオープンを見てちょっと思ったことがあります。

 結論から言うと、今回のUSオープンほど日本人選手にチャンスがある大会はないだろうということと、そもそもシングルスのプロテニスプレイヤーというのは日本人に向いていないということです。日本人に、というより日本の文化や伝統、価値観に染まっている人には向かないと言うことですね。

 最初の日本人にチャンスがある件ですが、先ほど申し上げたように、この大会は試合以外のことで選手は過剰にストレスを感じています。したがってプレイの質(精度)が悪く、ミスが目立ちます。要するに自滅パターンの試合が多いということです。テニスというのは変なスポーツで、時速200Km 以上のサーブが打てるからと言って勝てるわけではありませんし、信じられない身体能力を持っているからと言って勝てるわけでもありません。そういう能力(体力・技術)をきちんとポイントに結び付けられないなら、ただの大道芸になってしまいます。この能力(体力・技術)をポイントに結び付けるために精神力(集中力・闘争心)が必要になってきます。この精神力(集中力・闘争心)が今回の大会ではストレスのせいかうまく機能していないようです。それに対して日本人選手は、もともと体力でのハンデがありますので、本来我慢強く試合を進めることは得意なはずです。日本人選手がミスを繰り返すのは相手に圧倒される前に無理をして攻めるからですしね。ところが、こんな時に限って錦織選手は出場できないし、ついていませんね。でも大坂選手はなんだか優勝しちゃいそうな雰囲気です。

 日本人に向いていない件ですが、それをお話する前にプロテニスプレイヤーが戦うシングルスってどんなものかご存じでしょうか?彼らは試合中誰にも相談できませんし、誰からもアドバイスしてもらえません。すべて自分で考えて実行していきます。3セットマッチの場合、圧勝できるときは30~40分で終わるでしょうが、長ければ2~3時間かかります。グランドスラム(全豪・全仏・全英・全米)4大会では男子は5セットマッチなので、早くても1時間はかかりますし、ひどい時は4~5時間一人ぼっちで試合をし続けることになります。こんな競技は他にないと思います。将棋とかはスポーツじゃありませんし。

 ですから、プロテニスプレイヤーを目指してトレーニングに励んでいる欧米の若者は体力的、技術的なトレーニングだけでなく精神的なトレーニングも行っています。それは簡単に言うと「天上天下唯我独尊」状態になるためのトレーニングです。もっと簡単に言うとエゴの強化です。あ、勘違いしないでください。別に否定的に申し上げているのではありません。ただ、必要だからそうしている、ということです。長時間一人ぼっちで戦い勝つためには、「自分が一番なんだ」「自分が王様なんだ」と自信満々で試合に臨まなければなりません。コートでの彼らの振る舞いがともすれば傲岸不遜に思えるのはそれが反映しているようです。このあたりが日本人の苦手なところ、というか身に着けにくいところだと思います。考えても見てください、日本は未だに同調圧力は強い国です。ましてや「思いやり」だとか「おもてなし」だとか、さらに言えば「和を以て貴しとなす」などという考え方に高い価値観を持っている国です。そんな中で唯我独尊なんてやってたら嫌われちゃいますよ。だから錦織選手は渡米してあちらのスクールに学ぶ必要があったのでしょうし、大坂選手はバックグランドに欧米の価値観を持っているところが強みなのだと思います。そういう意味では、ちょっと前の伊達選手は奇跡なのかもしれません。

 こうしたお話はバイト先の先輩コーチからいろいろと教えてもらいました。

 そのスクールにもジュニアのクラスがあり、ラケットに振りまわされているような小さな子が一生懸命練習していました。この子たちの中からトッププロになる選手が出てくるのだろうか?と思いながらレッスンを手伝っていました。

 先ほどの「天上天下唯我独尊」について補足しますが、欧米では勝ちさえすれば何をしても良いなどとは教えていません。ルールの厳守、特に時間などはとても厳しく指導されると聞いています。しかし、試合中の振る舞いについてはあまり強い拘束をかけないと聞いています。うまくいかなくなったら、ラケットを地面に叩きつけたり、ボールデッド後のボールを無意味に強打したり、叫んでみたり、観客と喧嘩したり、結構やりたい放題です。まぁ、最近はバイオレーションをとるようになりましたので、ラケットによる野蛮な行為は減りましたが、なくなったわけではありません。

 彼らの試合中の振る舞いには、当然意味があるそうです。自分の気分転換や試合のペースを変えるために、さらには対戦相手やラインジャッジの心理への影響を狙ったものとか様々です。また、彼らはミスをしてもそれが自分に原因があるとは考えないようにしています。他責的とでも言いましょうか(ちょっと違うような)、ラケットやシューズのせい、コートのサーフェス(地面)が悪い、審判が悪い、観客がうるさい、カメラが光って集中できない等々、これまた様々です。

 繰り返し申し上げますが、これらのことを善悪でお話しているのではありません。

 これらは一人ぼっちでの試合に勝つための取り組みなのです…一応。

 しかし、今回のUSオープンのように精神的なバランスが崩れてしまうと、その行いはただの愚行となり、その選手は自己中心的で非常識な人間となってしまいます。また、幼いころからこうした指導を受けていた選手が、結局テニスを諦めたときどうなるでしょう?まぁ、そんなにバカばっかりではないので、何とか社会に適応できるよう努めるのでしょう。でも、小学生になったばかりの子なのに…。せめて、早い段階で厳しい道へ進むのか、それとも嗜み程度とするのか早めに判断してほしいと当時は思っていました。

 参考になるのかどうかわかりませんが、昔男子のプロテニスプレイヤーにゴメスという選手がいました。ATPのランキングでトップ10に入った選手ですが、この人20歳を過ぎてからテニスを始めたそうです。それまではサーファーだったとのこと。早めに始めるのは有利かもしれませんが、こうした成功例もありますので、少し緩やかで柔軟な判断があっても良いような気がします。

 

 いろいろあって、あまり面白みを感じなくなりそうなUSオープンですが、大坂選手が強い!特にその落ち着きぶりがすごい。本当に優勝してしまいようです。他の選手がその落ち着きを維持できなくて自滅しているのに対して、全く違う次元のテニスをしています。ひょっとしたら、直前の大会のボイコット騒動後に何か考えるところがあって一皮むけたのかもしれませんね。

 そのボイコット騒動ですが、Twitterでテニスを大多数の白人のスポーツと大坂選手は言っています。これは事実ですが、差別によるものではないと思っています。先ほども申し上げたようにテニスは幼年期からレッスンを受けます。そんなことができるのは経済的に余裕のある人々です。また、アメリカでもテニスは盛んですが、それ以上にMLB,NFL,NBAともっとメジャーなスポーツがあり、そっちのほうはチーム競技ですので、高校の時点で特待生など待遇が充実しています。当然運動に長けた人材はそちらに流れます。要するに構造によるものなのです。なので、安易に黒人差別と結びつけて考えるのには反対です。

 また、スポーツ選手やチームが抗議のボイコットをするのも、私の個人的な意見ですが反対です。そもそもスポーツ選手の発言に大衆が耳を傾けるのはなぜでしょうか?それは彼らの活躍や成果によるものでしょう。ならば、競技をして、優秀な成績を上げて発言の機会を得て堂々と主張されたらよろしいではありませんか。そのプレイを見たい人々に対して自身のプレイを人質にするような手法は賛成できません。

 彼女の活躍にとても期待している者として、この件は心配していましたが、USオープンでのプレイを見る限り杞憂に終わったようでほっとしました。

 

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 グダグダと面倒なお話をしてしまいましたが、私がコーチのバイトをしていた時にレッスンを受け持っていたのはパパさんやママさんたちです。もちろんこの方々のほとんどが暇つぶし、運動不足解消、趣味といった理由(目的)でスクールに来ていました。私は脂汗や冷や汗を流しながら必死にやっていましたが、彼らは実に朗らかにレッスンを楽しんでいました。ただ、楽しいからってスマッシュ練習の時、球出しをしている私をまとにするのはやめてほしかった。テニスボールって当たり所によっては本当に痛いんですから。