みなさん、こんにちは。
韓国で解体中の建物が倒壊し、路線バスが巻き込まれて、これまでに9人が死亡、8人が重傷を負ったとのことです。
映像を見てゾッとしました。海外ではずいぶん荒っぽいことをしますね。
日本では考えられないことですが、だからと言って日本の建設現場(今回の韓国は解体工事だったけど)でも、事故がないわけではありません。よく、足場の組み立てや撤去の際に鉄管が落ちて通行人を直撃したとか、足場自体が崩落したとか、重機作業中に、重機ごと転落したとかありますね。
こういう事について、韓国が嫌いだからと、あの国の建築安全基準の甘さを声高に言っても仕方がありません。・・・韓国は嫌いですが…。
予防と対応のお話をするにあたり、よく考えたら、この建設の話が一番わかりやすいですね。コロナの話なんかせずに、こっちの話をしておけば良かった…。
私は長い間建築関係の仕事をしてましたから(エクステリアや住宅リフォームですが)、少しは知っていますが、建築に関して日本は非常に面倒くさい法律がいっぱいあります。山のような申請書類がいりますし、安全対策について怠っていた場合は厳しい罰則が設けられています。
例えば、足場の上で作業してる時にヘルメットを外していて、その後転落した場合、本人は大けがをしますね。命を落とすこともあり得ます。でも、本人が勝手にヘルメットを外してたにもかかわらず、監督など管理責任者も厳しく責任を追及されます。一見理不尽なようですが、このおかげで管理者の権限も強くなり、従わない業者や職人は排除されるようになりました。これ、結構大事なことです。
で、建築現場の予防とは、事故の予防、施工ミスの予防、工期遅延の予防、予算超過の予防などたくさんありますが、ここでは事故の予防だけ考えますね。
建築現場での事故のほとんどが高所作業中、もしくは足場自体によるものと、道具使用時のものになると思います。もちろんコンクリートブロックを運んでる時に足の上に落としちゃった!っていうのも事故ですが、そういうのを取り上げていたらきりがありませんからね。ちなみにこれは安全靴(つま先や靴底に足を保護するものが仕込んであります)を履いておくことで重傷を負うのを避けることができますね。
で、足場で考えると、設置計画の段階からお役所の厳しいチェックが入ったりします。こうなった時にこれでは危ない!とか、ここの広さが確保されていないからものが落ちたときに危ない!とか、支えの角度が悪いとかなんとかかんとか、…。よくそんなに思いつくよなぁ!って感心します。そして、そのほとんどが・・・、起きません!100回、1000回のうち1回でも起きれば、かなりの高確率になります。それくらい事故は起きなくなっているんだから、そんな面倒なことしなくてもいいじゃん!っていうのが建築関係者の本音だと思いますが、彼らは同時にそういう面倒なことをしてるから、事故が起きない、あるいは重大事故にならずに済んでるっていう、認めたくないこともわかっているんですね。だから、ブツブツ言いながらでもやるんですが…。
例えば足場を組んだ後でシートを張りますよね、よく建築会社のロゴは入っているヤツです。あれは宣伝の目的もありますが、もちろんそんなことだけではありません。音やほこりによる近隣住民への廃炉の側面もありますが、本来の目的は転落や落下物の被害軽減にあります。
足場の上でちょうど安全帯(足場に引っ掛けるフック付きのロープ)を付け替える時に、めまいがしてふらついても、あのシートがあれば外に放り出されることはありません。金づちを落としても外にいる通行人には当たりません。
それに、転落防止については先ほどの安全帯もありますし、必ずヘルメットはつけなければなりません。もう、二重三重に対策の指示は出ているんですね。ではなぜ事故がおきるのか?・・・しないからですよ。
ちょっと長くなりそうなので、続きは次回にしますが、日本の建築における事故予防の徹底ぶり(その対策や計画において)は世界でもトップクラスだと思いますよ。それは東京タワーや瀬戸大橋などの巨大なインフラ工事の際に多くの犠牲を出しながら培ってきたものなので、軽々に面倒くさいなんて言ってはいけないことなんですが…、つい、そう言っちゃいます。ごめんなさい。
最後に、冒頭の韓国の事故で、何の落ち度もなくたまたま路線バスに乗っていて、被害に遭い亡くなられた方のご冥福とケガをなさった方の早期の回復をお祈りいたします。
・・・、文タンは嫌いだけどね!