みなさん、こんにちは。
ある、似たような会社が2つ(A社とB社)あったとします。
わかりやすいので工場にしておきましょうか。
この2社は同じ地域にあるライバル関係の会社で、日々しのぎを削ってるんですが、両者には共通して、設備保全のスペシャリストと目されている人がいます。
A社のスペシャリストは日頃、工場内をほっつき歩きながら社員に設備機器の使用から備品の扱いまでなにかしら口を出してきます。危険な使い方や乱暴な扱い方をしていたら、その都度注意されるもんですから、社員からの評判はすこぶる悪く、はっきり言って嫌われ者です。ではどうしてスペシャリストなのかと言いますと、日頃の口うるさい言動と、稼働していない時の点検メンテナンスに精を出しているからです。
そのおかげもあって、これまで予定されていた設備機器の入れ替えなどを除き、突発的な事故等による操業停止なんてことは一度もおきていません。
でも、やっぱり陰口を叩かれたり、露骨に煙たがられたりするのはつらいようですね。
一方B社のスペシャリストは、社員に面倒なことは一切言いません。
やっぱりこの人も普段は工場内をほっつき歩いているんですが、荒っぽい使い方をしている部署や、なくなりそうな備品を把握し、あらかじめ何が必要になるのか予想して準備しています。ですから事故が発生しても、設備機器の修理などは突発的なものであるにもかかわらず、比較的短時間で修理してしまいますし、備品などがなくなってアタフタしている社員にそっと差し出すようなマネもやってのけます。
当然社員からの人気も高く、A社のスペシャリストとは対照的に居心地のよい状態で勤務しています。
あくまで民間企業でのお話ですが、どっちがいいと思います?
もちろん区別しやすいように極端な例にしています。実際の会社ではこんなはっきりと線引することはできないと思いますが。
実際にそこで働くとなると、・・・B社の方がいいような気がしますが、やっぱりA社がいいですね。そう、あのギスギスしたA社です。
いや、私だって嫌ですよ。いつも文句ばっかり言われてたら。でも、目的が明らかで、実績もあるのなら、やはりそれには従わなければならないと思いますよ。さらにいえば、みんなが気を付けるようになると、あまり言われなくなりますよね。
B社は確かに社員の気分は楽なのかもしれませんし、スペシャリストも気分がいいでしょう。しかし、この風土ではいつまで経っても事故は起きるでしょうし、それに対する準備にもコストがかかります。さらに、いかに短いとはいえ操業停止するのなら、事業にも影響しますからね。
以前も申しましたように、トラブルやアクシデントは極力起こさない方がいいと思います。つまり予防できるのならそれが一番ってことです。発生した事案に対する神憑り的な対応などよりも、日頃の地味な積み重ねによる未発生な状態こそ望ましいと思いませんか?
予防は一流、対応は二流と思うのはそういう事なんですが、今日はさわりだけお話して、続きはもう少し時間のある時にお話したいと思います。
念のために申し上げますが、100%予防できることなんてなかなかないということはわかったうえで申し上げています。
ただ、昨今の世の中の雰囲気を考えると、どうもB社的な風土を作りたがっているような気がしたものですから。